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公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

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障害があっても就職できた人たち。

今日は就労支援の特別プログラムがありました。どんな内容かと申しますと、就職を決めたOG、OBの方々のお話をうかがうという内容です。

わたしはいそいそと参加してきました。なぜなら障害をもっての労働に対し、どんなイメージを持てばいいのか、わからなかったからです。すでに就労支援を受けていますが、具体的にどんな形での勤務になるのか、イメージができないからこそ不安もありました。

でも今日、すでに働いてらっしゃる方々のお話をうかがって、不安が減少したように感じます。

目次

ポイントは自分の障害を理解すること。

お話をうかがうことができた方々の就労形態は、在宅と通勤、どちらもありました。わたしの希望する就労形態は在宅ですから、そちらに関心が偏っていました。ですがもちろん就職が決まったという点において、どちらの就労形態でも参考になりました。

さまざまな質問をぶつける機会に恵まれました。そのいくつもの質疑応答から得られたポイントがあります。障害を持ちながら、就職を決められたいちばんのポイント、それは。

自分と向かい合って、自分が持つ障害について、ちゃんと理解しておくこと。

という点に尽きると思います。

自分を理解しているからこそ、就職先に対して要望を伝えられるようになります。具体的には、週3回以上連勤させないでほしいとか、水分補給をこまめにさせてほしいとか。あるいは、定期的に医者に行く必要があるとか週に一度、訪問看護を受ける必要があるとか。そういうふうにこちらの希望をきちんとまとめて、希望する就職先にきちんと伝えられることが前提なのではないかな、と感じました。

もちろん、障害を隠して働く、という形態もありだと思います。

その点でも、あらかじめ自分の限界を見極めて、伝えておくことは大切なのではないでしょうか。

ちなみにわたしは障害についてはオープンにして就職を決めたいと感じています。統合失調症はなかなか厄介な障害です。おまけに、わたしは10年ごとに再発を迎えています。もちろん再発しないよう、お医者さまの指示に従ってますが、確実に大丈夫とは言えません。そういう状態ですから、自分の病状について伝えておいたほうが、かける迷惑も少なく済むのではないかなあ、と考えた次第です。

まだ、自分一人で導いた考えですから、スタッフさんにも共有して相談しようかなと考えています。

自己管理が大切。

また、就職が叶った時のために、簡単なポイントを記した用紙もいただきました。就職にあたって、弁えておいたほうがいいポイントを改めて、教えていただいたのですね。具体的には、

1・病気の寛解(完全に治ること)には時間がかかる。
2・病気改善=服薬終了ではない。
3・最初の三ヶ月はとにかく体調管理を徹底する。
4・調子を崩すタイミングを覚えておく。

このように教わりました。

いずれも納得できるポイントです。特に、症状改善=服薬終了ではない、というポイントが大切でしょうか。これまで再発してきた理由は、自己判断で服薬をやめたことも大きく関わっています。だから症状が軽くなったり、にもかかわらず副作用が辛いとき、服薬をやめたくなったときにはお医者様に相談することが大切なんだと思います。

稀に、統合失調症を患っている事実を打ち明けますと、「副作用がひどいから、薬を飲まないほうがいいよ」とおっしゃる方々に出逢います。率直に申しますと、これまで20年以上、この病気を患ってきた身からすると、ちょっと無責任な発言だなあ、と感じます。

確かに強い薬を服用しています。だから薬は服用しないほうがいいという考えも理解できます。ですけれど、服用しない結果、病気が再発するリスクを無視しているのではないかな、と感じます。

事実、わたしは自己判断で服薬を中止したため、病気を派手に再発し、たくさんの方々に迷惑をかけました。具体的な行動を書いてしまったら、きっと皆さん、引いてしまわれるでしょう。失った信頼も体面もあります。再発によって起こした過ちは簡単には覆せません。だから、副作用があっても服薬を選んでいるのです。その上で、健康的に過ごせるように工夫する。就職するのなら、なおさらその工夫、言い換えれば自己管理が必要だなあと改めて感じました。

まずは自分の取説をつくってみよう。

とりあえず、就職するにあたって用意したほうがいいものも教わりました。クライシスプランですね。クライシスプランとは何かと申しますと、「安定した状態の維持、また病状悪化の兆候がみられた際 の自己対処と支援者の対応について病状が安定している時に合意に基づき作成する計画」です。

要するにトリセツですね。

例えば、ストレスが溜まったときや障害の症状が強くなったとき、一人カラオケに行ったらスッキリするとか、とにかく寝まくったほうが症状が治るとか。そういうふうに自分が行う対処、まわりに望む対応をあらかじめ、まとめておくのです。

障害にまつわるトラブルは、やはり、具体的にどうしたらいいのか、わからないことから発生するものだと思います。身近な例で申し訳ないのですが、わたしの場合、家族とのトラブルは、家族の常識と障害への対処がぶつかることから発生していました。具体的には、症状がひどいときは眠って心身を休めるしかないのに、一日中眠っているなんてだらしがない、という価値観がトラブルになっていたんです。せめてお医者さまから説明があったら、家族も気が楽になったのではないかなあ、と考えました。

少なくとも、障害を負ってしまった以上、以前とは同じままではいられません。その事実を自他ともに理解して、トリセツを用意しておいたら、トラブルを回避できるのではないかな、と感じました。

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