未明、3時。
体をモミモミする感触で、目が覚めました。半分ねぼけながら目を開けると、飼っている猫・ひめがモミモミとわたしの体の上で足踏みをしていたんです。
あれえ、と思いました。
なぜかというと、寝ている間にひめがわたしを起こすことはほとんどないからです。ひめが起きていることはあります。でもそういう時、たいてい、わたしの足元で丸まってるのです。つまり、こんなふうに積極的にわたしに働きかけることは、これまでになかったのですよ。
用事があるのかな。お腹が空いたのかな。そう考えました。
でもまた戻らなくちゃ、と考えて、目を閉じたのですけれど、ひめの動きは止まりません。モミモミモミ。猫が飼い主の体のやわらかいところを狙ってモミモミする理由は、甘えているからだと言われています。そんな一般知識を思い出したところで、わたしは覚醒しました。
う、わー。
はっきり覚醒したことによって、事態が解りました。わたし、悪夢を見ていたのです。それもホラー系ではなくて、しがらみ系。だから目が覚めた時に「夢の世界に戻らなくちゃ」と考えたんですね。細かいところはこの時点でも忘れていましたが、縁がほとんど切れている親戚との、気まずいやり取りをぼんやりと覚えています。ええ、もちろん夢の中の出来事なんですけれど。
もしやわたし、うなされていた?
それで心配したひめが起こしてくれた? ありえないようで、あり得るような気がします。以前、霊能者さんに教えていただいたことなんですけれど、ひめってわたしのことを「生きることが下手な動物だなあ」と考えてるんですって。正確には「狩りが下手な生き物だ」と捉えているらしいのですけれど、とにかく心配をかけていることには違いない。だからこの時もひめに心配をかけたのかなあ、と考えました。もしかしたら本当に、うなされていたのかもしれません。わたし、寝言も激しいですからね。
だからひめの頭に手を伸ばして、なでこなでこしたところ、モミモミは終わりました。
甘えてたんじゃなくて、起こそうとしていたの? わからないけれど、もう、くっきりはっきり目が覚めました。ひめはわたしの二の腕にできたスペースに丸まり、ぺろぺろとわたしの腕を舐めています。
心配かけたのかなあ。どうなのかなあ。
こういう時、ドリトル先生の能力が羨ましくなります。でもドリトル先生、長い期間、猫を飼おうとしなかったのよね。猫はちょっと扱いが難しいからという理由。例外は月から連れて帰ってきた月の猫。月に住んでいた猫は冒険心を発揮して、ドリトル先生に地球まで連れてきてもらったんです。その心に免じて、月の猫はドリトルファミリーになったんだよなあ、と思い出しながら、再び眠りました。
いつもの時間に目を覚まして、動きはじめながら、すました顔で朝ごはんを食べてるひめを見ました。
わたしはうなされていたの? ひめは心配してくれたの?
真実は分かりません。でも不思議に温かい気持ちになりながら、いつもの1日をはじめたのでした。
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