2023年9月2日から、ひろしま美術館では「ミュシャ展-マルチ・アーティストの先駆者」が始まっています。
ミュシャ。アール・ヌーヴォーを代表するこの人物をご存じの方は多いのではないでしょうか。美術の素養がないわたしでも、アルフォンス・ミュシャという名前と、代表的な作品のひとつである連作装飾パネルを知っていました。たおやかな女性の、四季を描いた作品です。ええと、その四季の絵葉書を購入していたのですよ。こちらですね。

この連作を知らなくても、影響を受けたアーティストの作品を見たことがある方も、いらっしゃるかも。フランスの画家だと思い込んでいた時期もありますが、今回、その誤解は正されました。チェコスロヴァキアの画家さんです。
でね、今回もいそいそとミュシャ展を見て回ったのですよ。なんでも今回は、ミュシャの個人コレクターであるチマル博士のコレクションから選りすぐりの作品を紹介してくれるのだとか。いろいろな作品がありましたよ。書物の挿絵やカレンダー、お菓子のパッケージまであり、多彩な才能を持った方なんだと感じましたが、それ以上に、多く遺されてる素描から、とても熱心に美術を研究されてる方だったんだなあと思いました。もうね、素描の、とっても細かな描き込みを見たときには、鳥肌が立ちそうでしたよ。
一人の人間としての生涯を追ったときには決して、順風満帆な人生を歩んだ方ではないのだなあと感じました。なんでもパトロンからの援助が打ち切られて、生活のために雑誌の挿絵を描いていたところ、次第に評判が高まったとか。今のわたしと同じ年齢で結婚したという事実にはちょっと興奮してしまいましたね。そしてチェコスロヴァキアを解体したナチス・ドイツによって「絵画がチェコ国民の愛国心を刺激する」という理由によって逮捕され、激しい尋問を受けたことによって亡くなられた、という事実には言葉を失ってしまいました。まさかそんな理由で亡くなられてるなんて、思ってもみなかったのです。
人生って思いがけない流れになることがあるんだ。誰にとっても。
また、出口のあたりでは売店が設置されており、ミュシャの絵画を用いたオリジナルグッズが発売されていました。ミュシャの絵画を用いたTシャツに強く心惹かれたのですけれど、結局、レモン味のラング・ド・シャを購入して帰宅。併設カフェの特別メニューも、今回は堪能することなく帰宅したのです。うう、食べたかった。