NO

—————約束など、覚えていないのでしょう。

「息災か」
「陛下こそ」

たったそれだけだ。夫たる国王と交わした言葉は。
なんてそっけない。自分でもそう感じているし、夫もそう感じているとわかっている。

けれども他に言葉など見当たらない。見つけられない。
仮面のようにこわばった表情を変える方法を見つけられないように。

いったい、いつからこうなってしまったのか。
なぜ、こうなってしまったのか。

理由はわかっている。
自分が王妃ではいられないからだ。

—————-王の愛妾という存在を受け入れられないから。

夫と自分が婚姻を結んで、はや九年。
子供を待望する声はもはや途絶えがちだ。

だからこそ密かに迎えられた愛妾が、夫にはいる。
対外的には王の相談役とされているが、あくまでも便宜上に過ぎないとは誰もが知っている。
少なくとも、真実は違う、とわかる程度には彼女も王妃であり続けたのだ。

嘘つき、と罵りたい気持ちを、毎日、抱え込んでしまっている。
約束したくせに、となじりたい気持ちを、必死に抑えている。

仮面のような表情を浮かべた自分に、夫は白けた表情を浮かべていた。
今宵も愛妾の元に向かうのだろうか。向かうに違いない、今までと同じように。

もう終わりにしたい。終わりにしようと言って欲しい。
愛想など尽きたでしょう? だから、もう。

彼女は今日も、許された自由の中で、必死の抵抗を続けている。

022:NO▼
(ファンタジー? 王さまと王妃さま:王妃さまサイド)

というわけで、王妃さまサイド。こんなオチだからこそ、昨日の王さまサイドでは、王さまちょっと嫌な奴に書いてみたのですが、成功していたでしょうか。約束の内容は他愛ない内容です。ため込まずになんでも話し合おうとかそういう感じでした。

2019/08/23

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