NO TITLE

    (————–あ)

    入社式の時、同期の中に懐かしい人を見つけた。
    高校時代に付き合っていた彼だ。
    大学は別の大学に通ったから、まさかここで同じ会社になるとは思わなかった。

    何年ぶりに会うんだろ。
    高校時代の雰囲気はそのままに、でもどこか精悍になっている、と思う……。

    少しだけ、鼓動が早くなった気がした。

    (あ、)

    入社式の時、同期の中に懐かしい姿を見つけた。
    高校時代、少しの間だけ、付き合っていた彼女だ。
    彼女は女子大に進んだし、まさかここで同じ会社になるとは思わなかった。

    5年ぶりかな。
    高校時代よりも化粧も上手になって、ずっときれいになってる。

    って、いまさらなに考えてんだ、俺は。

    034:NO TITTLE▼
    (現代もの かつての彼氏彼女)

    お題32「楽しかったよ!!!」から続く連作となりました。彼と彼女は、ただ、再会しただけ。それだけでなにも始まってないから、タイトルは無しです。ここから先、どうなるのか、わたしにもわかりません。でもこの二人には再会の道を用意したかった。だからこのお題には、この二人のその後を持ってきました。タイトルをつけるまでもない日常の、ありふれた再会話です。

    2019/10/27

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