電話

嘘つき。

力なく溢れた言葉は、涙を伴っていた。騒ぎ立てる感情は、さまざまな言葉を形にしたがる。でも形になった言葉はたったこれだけだ。嘘つき。嘘つき。嘘つき。子供の癇癪のように、壊れた機械のように同じ言葉を繰り返していたら、滑稽さが目についた。その滑稽な有様は、そのまま自分自身だ。頼りにならない人の言葉をまんまと信じて、心を傷つけている自分の惰弱さが滑稽で仕方ない。

ーーーーどうして信じた?
ーーーーどうして信じられた。

ずっと変わらないものなんてあるはずがない。
ましてや人の気持ちほど頼りにならないものなんてない。

わかっていたのに、どうしてわたしはあの人の言葉を信じてしまったのだろう。

電話をかけてみようか。なにか自分に問題があったかと訊ねてみようか。
怒らせてしまったのだろうか。そうなら教えて欲しい。謝らせて欲しい。
そのための電話だ。だからこそ、番号を知っているんだから。教えられているんだから。

でも。

電話は便利な媒体だ。いつでもどこでも、繋がりたい人同士を繋いでくれる。だからこそ、望まない相手をつながらない方法もちゃんと用意されている。相手がそれを使っていたら? 相手がそれを使っていたら。

決定的な断絶に、怯えている。
すでについた傷が不安を育てている。育てられた不安が、妄想を育て、また傷を作る。

もう傷つきたくない。

(電話なんて)

電話なんて、この世からなくなってしまえばいい。

 

036:電話▼

(現代もの 怯えている人物)

電話というお題に悩みました。なぜかというと電話を使った話を以前に書いていたから。その時は人と人がつながる話を書いたんですよね。じゃあ逆に、今回は繋がることが出来るのに繋がれない話を書いてみることにしました。この人物は、突然、関係を切られた人物です。理由はわからない。自分が悪いのかもしれないと考えてあれこれ探ったけれど、電話を使うことだけはしなかった。決定打を突きつけられるのが怖い、傷つけられたくない。そんな臆病な状態になってる感じですかねえ。相手にしてみたら、面倒な相手かもしれません。

2019/11/22

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