24時間、料理の注文承ります。

24時間、料理の注文承ります。

終、あるいは始。いま、ここにある刹那の永遠。

(まだ、開いていない) 店の前まで歩み寄って、どことなくそわそわする心地で呟いた。慣れない格好ではなく、結局いつもの格好で訪れることにした。扉の向こうに人影が見える。時計を確認した。間もなくの開店となるだろう、それまで時間をつぶすとす...
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10・ありがとう、またね。

夢を見ている。その自覚が、あった。 なぜならいま、目の前に立っているひとはすでにこの世にはいないひとだからだ。こちらに背中を向けて、料理に没頭している。色が抜けて白くなってしまった髪を結いあげて、年をとってもぴんと延びた背筋は老いを寄...
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9・あなたにあげる、この心。

「異なる世界といえど、意思疎通が可能となるのは理解し合える言葉が存在する以上に、よく似た生活を送っているからです」 それがシャルマンが呼び寄せた料理人の第一声だった。 修業期間はわずか六日間だ。少ない日数だから初日から料理に向か...
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喪失は喪失ではなくて、彼女のかけらはここにある。

ひどい顔つきをしていた娘が、いつもの表情を取り戻してアヴァロンを出ていった。母親の云う通りに夜に備えるのだろう。 素直な娘だ、と苦笑交じりの思考で呟く。だからこそ他人の思考に流されやすいが、その特徴は他人の助力を引き出す効果ももたらし...
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8・なにやってんですか。

とっさに行動することが出来なかった。 口をぱかんと開けて、なにかを云おうと思ったのだ。でも久しぶりに見る東條さんは相変わらず穏やかな雰囲気で、まるきり変わった様子がない。その様子を眺めていると、驚いている自分がおかしいのだと錯覚してし...
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