国盗物語

国盗物語

詐欺に資格は必要ありません。 (10)

 自分が置かれている現状に対して、どう考えているのかと問われたら、キーラは少し考えて応えるだろう。とてもうれしくてありがたい状況だ、と。  ここならキーラは本当に、ただの娘でいられる。魔道士であることは隠していないが、キーラを魔道士と...
2021.03.16
国盗物語

詐欺に資格は必要ありません。 (9)

(ああ)  朝の澄んだ空気が、心地よく肌に触れる。両手に桶を持って、共有の井戸に向かう。朝も早い時間だが、すでに井戸に人は並んでいた。にこにこと最後尾に並ぶと、見慣れ始めた顔がキーラに気づいて、挨拶をしてくる。 「あ、おはよ」 ...
2021.03.16
国盗物語

詐欺に資格は必要ありません。 (8)

「とりあえずどうする?」  安心できる距離に戻ったスキターリェツは、あっけらかんと訊ねてきた。なにを考えているのだろう。キーラは注意深く相手を見る。これまでの人生で不可解だと感じる人物とそれなりに出会ってきたが、スキターリェツの不可解...
2021.03.16
国盗物語

詐欺に資格は必要ありません。 (7)

(どうしてうなずいてしまったんだろ)  キーラは現在、微妙な後悔をしている最中である。何に対する後悔かと云えば、左手首をがっちりつかんでいる青年、スキターリェツの同行を許してしまったことだ。ただ、通り過ぎる人間が、皆、スキターリェツに...
2021.03.06
国盗物語

詐欺に資格は必要ありません。 (6)

 視界のぶれが足元をおぼつかなくさせる。たたらを踏んで、結局、座り込んでしまった。  ぺたんと座り込んで、転移魔道でたどり着いた先が、室外ではないと気づいた。つるつるとよく磨かれた床は、大理石だろうか。転移の魔道陣が刻まれていた。円形に刻...
2021.03.06
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