テレビジョン
テレビって必要かな?
唐突にそんなことを思った。いつものように深夜遅くに帰宅して、コンビニ弁当を温めている間、ふっと唐突に。
いわゆる社畜のわたし。
家にいても、ほとんどテレビを見ることもない。
テレビはいつも、黒く沈黙している。
(必要かな?)
ニュースをはじめとする情報はツイッターでも集められるし。
据え置き型ゲームなんて久しく遊んでいない。
ああ、映画とか観ようとしたときには必要か。
(でも映画を見るといってもいつ見るのよ?)
レンタルビデオも会員権を更新しないまま、数年がすぎた。
ネット番組で見るって、そもそも時間がないってーの!
そう考えると、テレビって必要ない気がしてきたなあ。
「手放そうかなあ?」
テレビを見ながら、そうつぶやたところで、電子レンジがチーンとなった。
よしよし、とりあえずご飯を食べよう、そう思ったときだ。
「手放すとはもしやわたしのことか」
唐突に美声が響いた。
一瞬、動きを止めて、あわてて振り返ったら、テレビのあったところに美青年が立っていた。和服姿の、艶々した長い黒髪が印象的な美形は、憂いを漂わせた眼差しでわたしを見つめている。
なんだああ、これ?
電子レンジの蓋を開いたまま、唖然と口を開いたわたしは、唐突に現れた青年に涙ながらに訴えられた。
どうか自分を捨てないで欲しい、と。
「いや、ええと」
わたしはせっかくごはんを温めたにもかかわらず、涙に濡れた美青年に迫られてごはんを食べられないでいる。
誰か、テレビジョンが擬人化したときの対処法を教えてください。
040:テレビジョン▼
(現代もの。社畜と擬人化したテレビジョン)
凄まじく時間がかかりましたが、いざ書き始めたらスルスルっと書けていたよテレビジョン。家にあるテレビを眺めながら、ふと思ったことをそのまんま描いてみました。いや、我が家のテレビは活躍しているよ。主に据え置きゲームを遊ぶときにね!!
2020/02/13