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「24時間、料理の注文を承ります。」

公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

試し読み

爪切り事情。

昨日は一日中雨が降っていましたが、今日は晴れています。

よし、これなら作戦決行しても構わんだろう。そう考えたわたしは、キャリーバッグを押し入れから出しました。上の天井部分を外して、「ひめちゃ〜ん」と猫撫で声で呼びます。

窓辺で日向ぼっこをしている我が家のひめぎみは「なあに」と言いたげに、のっそりわたしを見つめます。逃げ出さない。よしよしと思いながら「爪切りを切りに行こうか」と話しかけます。この言葉に反応しないひめは、大人しくわたしの手に捕まり、そのままキャリーバッグに移動させられ、動物病院まで連れて行かれたのでした。

それというのも、ひめの爪が伸びていたから。

先日、爪がかすってわたしの指が怪我をしたのですよ。うん、軽く血が滲む程度の傷です。もちろんすぐに手当てをしましたが、このままじゃいかんと考えていたのです。

前にも話したかもしれませんが、ひめの爪切りは動物病院に依頼することにしてます。なぜなら我が家の猫はマンチカン。手足が本当に短いの! 我が家のひめはマンチカンらしい特徴を備えて、特に短いのです。

むかしはね、それこそひめを飼い始めたばかりのころは、世話はすべてしないといけないと考えて爪切りも試みました。でもこの子の嫌がりかたは本当に激しかったのです。それこそ手足が抜けるんじゃないか、というぐらい、わたしの腕の中で激しく逃げ回る。

わたし、怖くなっちゃいました。

ひめの手足がポキッといったらどうしようと考えたのです。大人しく膝の上にくつろいでいるときをうかがって、試してみたんですけれど、やっぱり嫌がる。途方に暮れました。

それで動物病院に駆け込み、わたしがひめを抑え込んでいる間に、先生に爪を切ってもらう、という方法を採用するようになったのでした。爪切りのお値段は、ご存知の通り、病院によって異なります。離れた場所にある病院に連れて行ったところ、1900円かかりました。

でもお馴染みの病院は600円だから、まあ、出かけた時のコーヒーを我慢すればいいかな、という程度。我慢します、そのくらい。

そして今日も今日とて、無事に爪を切ってもらって、帰宅したのでした。爪が短くなったから、安心です。以前ね、伸びた爪が肉球に食い込んだことがあって、大慌てしたのですよ。絶対に2度繰り返さない。だから定期支出を受け入れているのでした。

ちなみに、地域猫たちの爪切りは行っていません。この子たちは半野良ですからねえ。まず、わたしが抱き上げようとする時点で逃げ出します。まあ、外は厳しい環境ですから、爪切りはしないほうがいいのだろうと考えています。

ところで我が家には百日紅(さるすべり)の木があるのですが。

その名の通り、猿が滑るくらいツルツルの樹木なのですが、我が家の百日紅はザラザラしています。なぜか。野良たちが爪研ぎに使うからです。うう、かわいそうな百日紅。でも毎年きちんと花を咲かせてくれるから、健気に生きてくれてるんだなあと感謝してます。

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