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公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

試し読み

本棚に入りきらない。

我が家には大きな本棚があります。

そしてこの本棚が我が家にやってきた時に定めたマイルールがあります。それは「この本棚に入りきらない量の書籍は持たない」というもの。

でも趣味は読書ですから、日々を過ごしていたら書籍も増えていきます。大きな本棚からもはみ出る本も増えてきました。ですから今日は、本棚の整理整頓を行ったのですよ。

目次

そもそもなぜこんなルールを決めたのか。

それは単純に、「家族の遺品を処分することが大変だったから」です。

わたしはこれまでに同居していた祖父母と別居していた父の遺品を処分してきたのですけれど、本当に大変でした。大量の衣服に、大量の食器。趣味の道具に、趣味の書籍。亡くなった人を偲んで大切に持っておこう、という考えがなかったわけではないのですが、現実的な理由で片付けるしかありませんでした。父の家は引き渡し日が迫っていたのです。

最終的に、片付けサービスを利用しましたが、わたしはクタクタに疲れてしまいました。そして思ったのです。「わたしも亡くなったとき、こんな想いを誰かにさせるのか」と。

まあ、わたしはまだ40代です。持病はあるものの、その持病は命を失う類の病気ではありません。ですからわたしが亡くなる時はまだ先だと思うのですが、人生、何があるかわかりません。事実、父親は59歳で亡くなったわけですからね。

だから出来るだけ身軽でいよう。そう考えるようになったのでした。

電子書籍派? 紙書籍派?

わたしが持つと決めた本は、本棚に入るだけ、と決めています。

でもこのルールには抜け道があって、要するに、本棚に入らない本なら購入してもいいのです。ですからわたしは電子書籍で本を購入する機会が増えました。電子書籍にもいろいろありますが、わたしはiPhone、iPadを利用しているため、iBooksで購入してます。

他にもお得な電子書籍サービスはあるようですね。でもそれぞれのサービスをすべて会員登録して電子書籍サービスを利用するなんて、パスワード管理が大変そうだと考えてしまったのですよ。iBooksならすでに保有しているApple IDと紐づいているわけだし、いつでも持ち歩いているiPhoneから読書できます。

ですからiBooksで購入しているのですが、出版社の方針でしょうか、iBooksでは購入できない書籍もあります。そういうときはしかたないと考えて、そもそもの書籍の購入を諦めることにしています。どうしても読みたかったら紙書籍でも購入するのですが、そういう本はなぜか本屋さんに並んでいない時も多いから、諦めるようになったのでした。

それでも紙書籍は増えていく。

わたしの趣味のひとつに、本屋さん巡りがあります。

もっとも最近はできない時も多いのですが、ストレスがたまった時にふらふらと本屋さんに向かいます。そうしたら電子書籍のおすすめ画面に表示されない、でも読みたくなる本を見つけます。で、そのまま購入してしまうのですね。

マイルールを振り返れば、そこで本屋を出て電子書籍で購入するべきなのでしょう。

でもそれは、なんとなくですが、しちゃいけないことのように感じています。本屋における、本との出会いは一期一会のように感じているからかもしれません。その貴重な出会いをさせてくれたお礼として、本屋さんで巡り合った本はそのまま購入してしまいます。変なこだわりといえば、その通りです。でも紙書籍の感触が結局好きですから、曖昧なルールのまま、紙書籍を購入してしまうのです。結果、紙書籍だって増えていくのですね。

本を手放す基準は。

今回、改めて本棚を整理して紙袋ひとつ分ですが、手放す本を選びました。どういう基準で選んだのかと申しますと、

・電子書籍が発売されている本
・読んでみて、ちょっと違和感を覚えた本
・充分堪能し切ったと感じる本

以上です。

特に、電子書籍が発売されているかどうかは、重要なポイントです。なぜなら本は何度でも読みたくなることがあります。手放してしまったことを後悔することだってあります。

これまでに幾つかの書籍を手放したことがあるのですが、後から読みたいと思った時に中古本屋を探しても見つからなかったことがあるのですね。Amazonで見つけたらとんでもない高額になっていることもあります。

せめて電子書籍で購入できたらいいのですけれど、すべての本が電子書籍になっているわけではありません。特に、電子書籍が始まる前に発行された本はよほどのことがない限り、電子書籍にならないことが多いようにも感じています。

ですからそういう本は手元に残して、電子書籍でも購入できる本は手放してしまおうと考えたのでした。少なくともそうしたら、再びお金がかかってしまうけれど、読めるわけですから。ただ、手放した本を電子書籍で購入しなおしたことはこれまでにありません。結局、手放した本に対しては、もう満足しきっているんだなあと感じています。

終わりに。

本を手放すために本棚を整理整頓するとき、いつも複雑な気持ちになります。

いずれ手放すならどうして購入してしまうのかな、という気持ちもありますし、マイルールをゆるめて本棚を増やしたほうがいいんじゃないのかな、という気持ちもあります。

一人暮らしをしているのだから、もうちょい気楽にものを増やしてもいいんじゃない? と思うのですが、遺品を片付けたときの苦い経験がどうしても頭によぎるんですね。

それならいっそミニマリストになってしまえば、と考えることもありますが、まだそこまで踏ん切ることができません。確かにミニマリストに憧れているところはあるんですが、やっぱり、まだまだモノへの執着も強いんです。

ただ、客観的にみたところ、我が家はだいぶすっきりしているそうです。

もしかしたら今のわたしは、知らず知らずのうちに変化していっている過程にあるのかもしれないなあと思いながら、今日の整理整頓を済ませました。

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