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「24時間、料理の注文を承ります。」

公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

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そうだ、パフェを食べよう。

数日前からもやもやする気持ちがありました。

や、自分で決めたことにかんするもやもやです。あれこれ考えて、決めて、行動して。それでもちょっと、微妙な部分でモヤモヤを抱えていたのですね。

よくない傾向だなあと感じました。納得するしかない状況なのに、納得できないなんて、まるでわたし、駄々っ子みたいじゃないのよ、とも考えてしまって、軽く自己嫌悪を抱いたり。

そんな時、SNSを眺めて思い立ったのですよ。そうだ、パフェを食べに行こう。

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T’s cafe ゲートイン

アイキャッチ

T’s cafe ゲートイン
広島県広島市中区大手町1丁目4−4
9:00〜18:00(短縮営業中)

こちらのお店は、広島の中心部にある喫茶店です。

店の前に、大きな白馬の置物があるから、「ああ! あそこか」とわかる人は多いんじゃないかな。家電量販店エディオン本店近く、エディオンの駐車場の真向かいにあります。

わたしは短縮営業になる前から、この喫茶店のモーニングや日替わりランチを目当てに通っていました。美味しいんですよね〜どちらも。でね、最近になってInstagramをされてると知り、フォローしたところ、季節のパフェを販売しているという事実を知ったのです。

というわけで、本日、街中に用事がある日に、ついでにパフェを食べに向かったのでした。秋の気配が漂ってきたこの時期、いくつか季節のパフェがありましたが、わたしの心は決まっていました。

ズバリ! いちじくとアールグレイのパフェを食べようと決めていたのです。

なぜかというと、わたしはいちじくが好き。アールグレイも好き。だからこの組み合わせには間違いがないわ、と感じたからです。Instagramで掲載された、パフェの解剖図をみて、なおさら食べたい意欲が盛り上がっていましたね。

チョコレートの蝶々が、生乳ソフトクリームの上に飾られ、旬のいちじくがたっぷり盛られています。ソフトクリームの下に、アールグレイのパンナコッタがあり、濃厚ラムレーズンのアイスがあり、いちじくの赤ワインやサクサクフィアンティーヌに白ワインのジュレがあり……。

どうです。解剖図を並べただけでも、「食べた〜い」ってなるでしょう!

用事を済ませて、お店にたどり着いた時間はちょうど15時過ぎ。おやつタイムです。平日だからか、今日は待っているお客様も少ない! というわけで、意気揚々と店に入り、注文しました。

まもなくやって来たパフェ。ああ、何度も涎を垂らしたパフェが目の前にあります。丁寧にとりわけ皿を置かれましたが、わたしはものともせずに、パフェに挑みました。はんぐ、とチョコレート蝶々を一口で食べました。いちじくも次々と食べました。ソフトクリームもラムレーズンも……。

美味しかったあああっ!

というわけで食べ終えるころには、抱えていたモヤモヤなんてどこかに消えていたのです。いいえ、むしろ、こんなに美味しいパフェを食べるきっかけになったのだから、もやもやに感謝する勢いでしたね。お値段1400円をPayPayで支払って、満ち足りた気持ちでわたしは喫茶店を出ました。

もちろん食べただけじゃない。

ところで、本人は都合よく忘れていましたが、現在のわたし、ダイエット中なのです。

だからこのパフェを食べた後、意気揚々と自宅まで歩いて帰りました。そうね、時間は一時間以上かかりました。歩数計で言えば、13000歩と言ったところ。途中、公共機関を何度も見送り、汗をたらたら流し、日焼け止めが目に入ってきて「アイター!」と心の中で叫びながらも、歩いて帰宅したのです。

そうしたら、気分はすっかり晴れました。

や、パフェを食べた時点でもやもやは吹き飛んでいたんですけれど、でもそれ以上に運動した後の清々しさも混ざって、心底「どーでもいいわ〜」という気持ちになっていたのです。

人間の気持ちって、思ったよりイージーです。

でもその程度でいいのです。その程度で軽く扱われるものでいいのです、自分で決めたことに対して、スパンと割り切れないことへのモヤモヤなんて。

繰り返しになりますが、わたしがちっぽけな人間だからもやもやして、結果、こんなにも美味しいパフェを食べられたのだから、わたしのちっぽけさに万歳。そんな感じにおさまりました。

さー! 明日からも頑張るぞ〜!

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