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「24時間、料理の注文を承ります。」

公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

試し読み

いざというとき。

就労支援が始まってまもない時間に、年上の友人から電話がかかってきました。急で申し訳ないんだけど、今日、訪ねて行ってもいい? という問いかけの電話でした。就労支援が終わったら、公民館に行こうと考えていたんですけれど、何やら事情があるよう。

だから了承して電話を切りました。

目次

一人暮らしの家族が入院して。

就労支援が終わった時間、昼食の時間に友人がやってきました。急の来客がある場合、我が家では宅配お好み焼きを注文します。最近、わたしのお気に入りは、お好み焼きの麺に唐辛子を練り込んだピリ辛お好み焼きです。美味しいんですよ〜辛いけど。辛いところがまた美味しいんです。

でね、食事を終えた後、友達が打ち明け話をしてきました。

少し前に、今年で90歳になるお母さんが入院されたのだそうです。とは言っても、言動はしっかりしています。だからじきに退院できるだろうけれど、問題は友人のお母さんが暮らしていたおうちの設備。固定電話はなく、携帯電話が唯一の連絡先だったのですが、その携帯電話は故障ぎみなのだとか。おまけに洗濯機も調子がおかしいから、買い替えないといけないのよ〜と打ち明けられました。

洗濯機はね、予算内で新しい洗濯機が見つかりました。いろんな通販サイトを見比べて、友人のお眼鏡に合うものが見つかったようです。ただ、メーカーお取り寄せになるから、ちょっと時間がかかる模様。予定を調整して洗濯機設置をしてもらう必要があります。まあ、それは許容範囲内なんです。

問題は、携帯電話。全く話せないわけじゃありません。ただ、いくら充電しても、電池がすぐになくなってしまうから、ほんの少ししか会話ができない。いっそ買い換えようかと考えたけれど、兄妹間で考えが違っているそうです。つまり、兄はまだ話せるのだから買い換える必要はない、と主張し、妹である友人は故障して話せない携帯電話に、毎月4000円以上も支払うのはもったいない、せめて買い換えるべきだ、という考えなのですね。

それでどうしたらいいと思う? というのが友人からの相談内容でした。

代理人に委任する場合、書類が必要。

わたしは、「本人が入院しているなら、契約を動かすのは面倒だよ」という言葉を返しました。

いえ、お話をうかがった限りでは、友人のお母さんはしっかりされているんですよ。退院したら引き続き、携帯電話を使う可能性が高いです。だからこのまま、携帯電話を持っていてもいいと思うんですけれど、入院中は携帯電話を使うことができません。入院によって使えない以上、いくら機械が壊れていても、急いで買い換える必要はありません。その点は、お兄さんの意見には同意できるんですよね。

ただ、正直なところを言うと、毎月、使えない携帯電話に代金を支払うのも勿体無い、という友人の意見にも同意できるんです。毎月4000円ってなかなかの出費ですよね。お母さんが退院して再び使えるようになる時を考えれば、さすがに解約しようとは思わないけれど、せめて預かっている携帯電話を使える状態にしておきたいという気持ちだって自然です。

でね、調べてみたところ、友人一家が契約しているドコモでは、長期間、携帯電話を使わない場合、手数料と毎月の保管料を支払って休止する、という方法もあったんです。

でもその手続きには本人、または代理人がドコモショップに行く必要があるんですね。

となると、本人と代理人の本人確認書類と委任状が必要になります。ですからとりあえず、我が家で委任状を印刷したんですけれど……これはなかなか難しい問題だなあ、と感じました。

なぜなら入院されているお母さんが委任状を書けるかどうか、という問題があります。ご高齢ですし入院している以上、書類を書くのも一苦労ではないかな、と想像したのでした。そうは言っても、必要である以上、書いていただくしかないんですが。ちょっと不便だと感じました。

さいわいにも、友人にはなじみのドコモショップがあるようですから、予約して他の手段を相談した方がいいかもしれない、という意見も合わせて伝えたら、友人は思案顔で帰宅したのです。

うーん。あまり有益なアドバイスはできなかったなあ。せっかく頼ってもらったのに。

その備えは有効なんだろうか。

それにしても、一人暮らしの人が急に入院する、という事態は他人事ではないなあと感じました。

や、今のわたしは健康体ですけれど、持病(統合失調症)があります。持病がひどくなったら、直ちに入院処置をとられますからね。病院に行って、その日のうちに入院という事態がありましたよ。持病が発症しなくても、他に何らかの病気が発症してしまう可能性だってあります。ええと、例えば脳梗塞とか。わたしは健康体なんですけれど、人間、万が一が起きる可能性はあります。誰にだって。

その場合、我が家のにゃんこはどうなるのか。

だから、わたしはレスキューカードを用意しました。他に、「ねこHELP手帳」という手帳も持ち歩くようにしています。その手帳には、いざという時、頼ってもいいよと言ってくれた友人の連絡先を書いています。わたしの意識が何日も失われた時、どうかにゃんこが保護をされますようにと願って。

----そして今回、他にも備えなければならない事態はあるんだなあ、と気付かされました。携帯電話の支払いだけではありません。電気ガス水道の支払いだってある。長期間家を空けるなら、冷蔵庫の中身だって何とかしないといけない。そもそも入院する場合、荷物だって必要ですよね。パジャマとか着替えとか、まとめておいた方がいいのかな、と考えて、「あー……」という気持ちになりました。

なんだかその備え、とっても大変そう。

おまけに、今回の出来事を聞いていたら、あらかじめ備えても、その備えで対処し切れるのか、という疑問も出てきました。本当にね、入院しなくて済むように、健康に気をつけていかなくちゃ。

というわけで、今日の夕ごはんは味噌汁と玄米、納豆にしてみました。健康的でしょ?

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