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「24時間、料理の注文を承ります。」

公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

試し読み

パンを焼くたびに、パン屋を尊敬する。

ホームメイドクッキング講座を受講してきました。

朝からひどい雨が降っていたため、受講できるかどうか、危ぶんでいたのです。が、何事もなく受講できました。このご時世ですから、コロナ対策は万全ですしね、今、自粛生活している身にとって数少ない気晴らし講座なのです。

今日、受講して教わったパンは、ダッカルビピザと塩キャラメルメロンパンです。どちらも定着した素材を用いたパンですね。

とはいうものの、わたしは塩キャラメルもダッカルビも食べたことはありません。だから期待でドキドキしながら、今日を迎えたのでした。

教室に到着すると、先生が講座のための準備を進めていました。だからね、教室にはダッカルビのいい匂いが漂っていて、たまらん気持ちになりました。今朝はもちろん、ちゃんと朝ごはんを食べて出かけたけれど、いい匂いを嗅ぐときゅうっとお腹のスペースが空く気がするの。え、わたしだけ?

でね、今日の講座を受講しながら思ったことは、「こんなに大変な作業をパン屋さんは毎日やってるんだよなあ」ということでした。

ダッカルビピザ。塩キャラメルメロンパン。

書いてしまえば、たった一言で終わってしまうパンです。でもそのパンを作るために、どんだけの手間がかかってるのか。実際に教わっているからこそ、その手間がよくわかります。まず、キャラメルを作る。まず、ダッカルビを作る。パン生地、ピザ生地を発酵させる。成型する。焼成する。……。

もちろん業務になれば、より、便利な素材があるのかもしれません。でもこの頃多く取扱が始まった無添加のパンは、やっぱり作る時に手間をかけているに違いないのです。それも毎日、二つ以上の豊富な種類のパンを、本業のパン屋さんは用意されているに違いないのです。

それを考えたらね、本当に、頭が下がるなあと感じました。

何気なく買えるパン。でもそれは、わたしがやってない手間を他の誰かが肩代わりしてくれてるから、買えるんだよなあと思えば、ありがたみが増します。お金を出してるんだから当たり前、という視点もあります。でもそもそも作って販売してくれなければ、買うことはできません。そう考えたら、わたしの知らない時間もコツコツ務めてるだろう、パン屋さんを尊敬できるなあと感じたのでした。

きっと、それはパン屋だけではなくて。

食べ物だけではなくて。もっともっとたくさんのジャンルで、仕事をしている人たちの、コツコツとした誠実さに、きっとわたしは助けられてるんでしょう。なにもしてないわたしですけれど、せめて、そういう仕組みに助けられている事実を忘れないでいることはできるよね。感謝を忘れないでいることはできるよね、と考えた次第なのでした。

ところで作り上げた二種のパン。

美味しゅうございました。味見しましたけれど、危うく食べ過ぎるほどの。糖質制限ダイエットをしている訳ですから、食べすぎないように友達にお裾分けする予定です。うん、ダッカルビも塩キャラメルも定着してくれてありがとう、と感じるほどの美味しさでございましたよ……。

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