国盗物語– category –
-
国盗物語
そういえば有益な資格でした。 (6)
キーラはこれまで精霊と云う種族を見た経験はない。 書物に記されている記載を覚えているだけだ。人間とは異なる進化を遂げた種族、人間よりもっと自然に近い、不思議を行使する存在、と云う描写を覚えているだけ。だから断言するべきではなかったのだ... -
国盗物語
そういえば有益な資格でした。 (5)
まずは乾かした服を着て、あたりの様子をうかがった。雌虎も反応していないから、キーラが感じるままに、だれもいないという結論で間違っていないだろう。 次に、倒れ伏した若者に近づく。キーラにしてみたらありがたい存在だが、不審人物だという認識... -
国盗物語
そういえば有益な資格でした。 (4)
知らぬ間に、うとうとと眠りこんでいたらしい。頬をなめられた感触に慌ててまぶたを開いた。すぐ間近に虎がいる。反射的に悲鳴を上げそうになったが、再び、ペロンとなめられて緊張がほどけた。昨日のやり取りも思い出して、肩から力を抜いた。すでにあ... -
国盗物語
そういえば有益な資格でした。 (3)
冷気を遮断する結界は、物理的衝撃にも対応できる。だから野生動物の素早さが人間よりはるかに優れていても、怯える必要はない。 そう云い聞かせていたが、さすがに勢いのまま虎に押し倒されたときは心臓が大きく脈打った。鋭い牙が結界のすぐ傍らで暴... -
国盗物語
そういえば有益な資格でした。 (2)
「パストゥスには魔道士ギルドがある」 落ちていた木の枝を拾って、積もっていた落ち葉を退ける。声に出してつぶやいた内容を、地面にカリカリと書いた。本当は帳面に書きたいが、ないものは仕方ない。 さきほどまで震えていたキーラだったが、頭上か... -
国盗物語
そういえば有益な資格でした。 (1)
(浮上。そう、浮上するのよキーラ・エーリン。がっくり脱力していても、事態は変わらない。それどころか、こんなに深い森では時間が経てば経つほど、か弱いわが身が危険にさらされてしまうのは明らか。頼りになりそうな人材が自分以外に存在しない以上、... -
国盗物語
誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (16)
頬に触れている手に、ためらいながら触れる。ん? と云いたげに、目の前の顔が微笑をにじませる。少しの間、まじまじと見返して、ぐい、と、手をつかんで顔から放した。 「乙女の顔を勝手に触るのは問題行為だと思うのよ」 憮然と云えば、スキターリ... -
国盗物語
誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (15)
「こわい顔をしているね」 不思議そうに首をかしげたスキターリェツは、キーラを見るとそう云って笑った。のほほんとした、ちょっと気が抜ける笑顔だ。でもこれほど、腹が立つ笑顔はない。そう感じながら、深い呼吸を繰り返す。わずかに気が鎮まった頃に... -
国盗物語
誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (14)
ざく、という衝撃が、身体に響く。肉よりも先に骨にひびく衝撃だ。少し遅れて、圧倒的な激痛が手首から伝わった。 (……う、あっ) 声にもならない悲鳴を上げて、キーラは腕輪をはめていた手首を押さえた。どくどくと血があふれ流れる。同時に、なじん...
