NOVEL– category –
-
茶道部のおもてなし 終章
終章 中間テストは、なんとか赤点をまぬがれた。 それは結衣も同じだったようで、「よかったあ」とつぶやく声が後ろから聞こえる。 なんとか中間テストを乗り切ることができた理由は、茉奈と海斗が面倒を見てくれたからだ。この二人にはひたすら感謝... -
茶道部のおもてなし 第四章
(4) だがましろさまに呼ばれて、奥の間に入らない道理はない。部員たちは気を取り直して、丁寧な動きで奥の間に入る。立ったままでいるなんて失礼だから、ずらりと並んで座った。乃梨子の隣に、結衣と海斗が座った。結衣はまだ緊張している様子だ。 ... -
茶道部のおもてなし 第四章
(3) ましろさまがやってくる時間になった。緊張した面差しの結衣が、奥の和室から出て、しきりで作った控室に入る。若菜がましろさまを迎えに行き、隼人が障子の前で待機している。静かに深呼吸を繰り返している結衣をみて、海斗がそっと「大丈夫だ」... -
茶道部のおもてなし 第四章
(2) たぶん、いまの乃梨子を表現するなら、「ふにゃふにゃ」という言葉が当てはまるだろう。そのくらい、疲れきった様子で乃梨子は和室の座卓に倒れ込んでいた。 すぐそばに、翔太が足を伸ばして座っている。涼やかにこなしていたように見えたが、... -
茶道部のおもてなし 第四章
(1) 「うわあ」 思わず乃梨子は歓声をもらしていた。 海斗が今日、この日に行う茶会のために用意した和菓子を見てしまったのだ。他の部員たちも同じように、海斗が運んできた和菓子に感心している。結衣なんて、興奮したように、ばんばんと海斗の背... -
茶道部のおもてなし 第三章
(6) その日は朝からいい天気だった。天気予報でも終日晴れるでしょう、と言っている。 (雨が降っちゃえばよかったのに) そう考えながら、乃梨子は父親との待ち合わせ場所に向かった。新幹線口のある駅にはショッピングセンターが併設されている。... -
茶道部のおもてなし 第三章
(5) それから茶道部の部活動の日が、いっきに増えた。 ましろさまが来ない日も、部員たちが自主練習を始めるようになったのだ。もっとも剣道部と掛け持ちしている海斗や、サッカークラブにも参加している隼人は毎日参加できない。それでもできる限... -
茶道部のおもてなし 第三章
(4) 「先日、わたしの眷属がそなたたちを訪れたそうだな」 次の部活動の日、部室を訪れたましろさまはいちばんにそう言った。 いつもにこやかなましろさまにしては珍しく、少し渋い表情を浮かべている。ましろさまを迎えた若菜が苦笑を浮かべ、乃梨... -
茶道部のおもてなし 第三章
(3) 「ましろさまの眷属が現れた?」 まだ三年の教室にいた若菜が、驚いたように乃梨子の言葉を繰り返した。乃梨子と海斗は神妙な表情を浮かべ、結衣はあいまいな表情を浮かべている。 あれから乃梨子と海斗は、姿を消したましろさまの眷属を探した...