国盗物語– category –
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国盗物語
誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (13)
無意識のうちに指が動き、手首にはまったままの腕輪をなぞった。どくどくと鼓動が激しく脈打っている。震える唇を開いて、静かに呼吸を繰り返した。 大気に満ちている力が見えない。どこから魔道が飛んでくるかもわからない状況が、キーラの精神をひる... -
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誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (12)
ずいぶん飛躍した提案だな、と感じた。それから、少々身勝手だ、とも。 前任者は魔道士ギルドに属する人間だ。いま、レフが知らないように、おそらく前任者もスキターリェツの故郷が異世界だとは知らなかっただろう。だから提案したのかもしれないが、勝... -
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誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (11)
かつて、統一帝国があった時代、ルークスはうっそうとした森に占められていた。 その土地に住みついたのが、現在、『精霊』と呼ばれている種族である。強く聡く麗しい黄金の女帝の治世下で、ヒトとは異なる、だが穏やかな生活を営んでいた。 けれど... -
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誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (10)
「精霊たちの結界を超えてやってきたわけではないわ」 即座にキーラは切り返した。男の表情がたちまち困惑にゆがむ。問いかける眼差しにためらって、だがうそをつくわけにはいかないから、正直に事実を告げる。 「わたしは神殿にいる魔道士の転移魔道で... -
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誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (9)
魔道士なのだ、と思う。 取り立てて珍しい恰好をしているわけではないが、乱れた襟元から緋色の肩掛けがずり落ちそうになっている。各地の魔道ギルドは少なくとも色持ちの魔道士が責任者となる。この建物で他に誰も見なかった事実を思い出せば、この男... -
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誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (8)
「……なにを考えているの?」 ティーカップを両手で抱えたまま、動かないでいるといぶかしそうなアリアの声が聞こえた。反射的にキーラは口を開けた。でもなにも云えない。頭がまっしろなのだ。結果的に沈黙していると、ますますアリアは変な表情を浮かべ... -
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誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (7)
美味しいお茶を淹れるコツは、どうやらたくさんあるようだ。 まず新鮮な水を使うこと。素早くお湯を沸騰させること。ポットはふたが熱くなるまで温めること。しっかり蒸らすこと。最後の一滴まで均一の濃度で注ぐこと。 誤解を解いたアリアから教わ... -
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誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (6)
「おかえりなさいませ、スキターリェツさま」 神殿に足を踏み入れたら、さほど進まないうちに声をかけられた。聞き覚えのある、けれど馴染みのない声に目を向ければ、初めて会ったときのように身なりを整えたアリアが頭を下げていた。ゆっくりと顔をあげ... -
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誰にでも事実を知る資格はあるのです。 (5)
「王さまなんてものは、他力本願じゃないとまわりが困るのよ」 召喚者名簿を閉じて、元の場所に戻しながらキーラは云い返した。 スキターリェツは、軽く眉を上げる。マジメな視線が少し怖かったけれど、脳裏に閃いた言葉を間違っていないと感じたから...
