国盗物語– category –
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国盗物語
間章(5)
もともと王族仕様の船だったためか、チーグルの船は帆船にしては広い造りになっている。アレクセイが訪れた会議室も、『灰虎』幹部が全員入室できる広さだ。今日、会議室にいるのはアーヴィングとチーグル、それからまだキーラに紹介していない幹部たち... -
国盗物語
間章(4)
「殿下」 しばらくキーラと会話を交わしていると、セルゲイが甲板に現れた。キリルをはじめとする新人たちを引き連れている。偶然、かちあったのだろう。おそらく部屋にいないアレクセイを探して甲板に出てきたのだ。もうそんな時間か。アレクセイは毎朝... -
国盗物語
間章(3)
最高位の魔道士、紫衣の魔道士を雇うと決めたのは、当初の意思を翻してミハイルの決意に協力することを決めたアーヴィングである。理由は明白だ。自分たちを過信していたつもりはないが、王子アレクセイを青衣の魔道士によって失ったためだ。今後彼らと... -
国盗物語
間章(2)
目覚めたとき、なによりも先にアレクセイは、いまが現実であることを確かめた。ほーっと息を吐き、ぐったりと重い動きで身体を起こす。疲れをとるための睡眠であるはずなのに、眠りに就く前より疲れているのはなぜだ。頭を振って、寝台から降りる。 最... -
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間章(1)
物云わぬ友人を抱き上げ、甲板に出たとき、仲間たちが息を呑む気配を感じた。だが口に出してなにかを云う者はいない。 だからミハイルは、あえて意識をそちらに向けずに、まっすぐに小舟に向かう。金に染めたばかりの髪が、海風に乱される。見慣れぬ前髪が... -
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詐欺に資格は必要ありません。 (10)
自分が置かれている現状に対して、どう考えているのかと問われたら、キーラは少し考えて応えるだろう。とてもうれしくてありがたい状況だ、と。 ここならキーラは本当に、ただの娘でいられる。魔道士であることは隠していないが、キーラを魔道士として... -
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詐欺に資格は必要ありません。 (9)
(ああ) 朝の澄んだ空気が、心地よく肌に触れる。両手に桶を持って、共有の井戸に向かう。朝も早い時間だが、すでに井戸に人は並んでいた。にこにこと最後尾に並ぶと、見慣れ始めた顔がキーラに気づいて、挨拶をしてくる。 「あ、おはよ」「……はよ」「... -
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詐欺に資格は必要ありません。 (8)
「とりあえずどうする?」 安心できる距離に戻ったスキターリェツは、あっけらかんと訊ねてきた。なにを考えているのだろう。キーラは注意深く相手を見る。これまでの人生で不可解だと感じる人物とそれなりに出会ってきたが、スキターリェツの不可解さは... -
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詐欺に資格は必要ありません。 (7)
(どうしてうなずいてしまったんだろ) キーラは現在、微妙な後悔をしている最中である。何に対する後悔かと云えば、左手首をがっちりつかんでいる青年、スキターリェツの同行を許してしまったことだ。ただ、通り過ぎる人間が、皆、スキターリェツに対し...
