国盗物語– category –
-
国盗物語
詐欺に資格は必要ありません。 (6)
視界のぶれが足元をおぼつかなくさせる。たたらを踏んで、結局、座り込んでしまった。 ぺたんと座り込んで、転移魔道でたどり着いた先が、室外ではないと気づいた。つるつるとよく磨かれた床は、大理石だろうか。転移の魔道陣が刻まれていた。円形に刻... -
国盗物語
詐欺に資格は必要ありません。 (5)
扉の外がいつもよりにぎやかだ。きっと補給するために港に停泊しているのだろう。 丸窓から外を眺めると、船から出ていく傭兵たちの姿が見える。このまま一泊するのだろうか。これまでなら間違いなくそうしていただろうが、いまはアリアの問題もある。 ... -
国盗物語
詐欺に資格は必要ありません。 (4)
丸窓の外から、月の光が差し込む。寝台から眺めて、ふう、とキーラは息を吐いた。 眠れない。さきほどから眠ろうと努力しているのだが、夕方に交わした会話が尾を引いていて、眠気が訪れないのだ。眠ろうと努力しているうちに、なんだかむしむしと暑く... -
国盗物語
詐欺に資格は必要ありません。 (3)
口封じに殺されることはない、と、いまのキーラは考えていた。 フェッルムの島では少々錯乱していた。キーラは最高位魔道士であり、また、魔道士ギルドの長から後継者に指名されている身である。客観的に考えたら、充分、重要人物なのだ。少なくとも不... -
国盗物語
詐欺に資格は必要ありません。 (2)
食事を終えて、食器を重ねる。そのまま寝台に腰かけると、じきに足音が聞こえる。こつこつこつ。礼儀正しく扉を叩かれ、思わず苦笑してしまった。セルゲイは答えを待たずに入室するが、事前にノックするところが、彼の性格を表わしているように思える。 ... -
国盗物語
詐欺に資格は必要ありません。 (1)
「あら、今日も美味しそうね」 にこにこ微笑みながら、キーラは寝台から立ち上がった。もう一人の同室人はふてくされて、寝台から降りてこない。ワゴンに乗せて、夕食のプレートを持ってきたセルゲイは無言だ。数日前に持ち込んだ折り畳み式テーブルを組... -
国盗物語
認められる条件として資格は有効でした。 (14)
続いて剣戟の音が耳を叩いた。意外に感じながら、セルゲイが向かった方向を見つめる。同時に、水竜から解放されたアレクセイが近寄ってくる。余裕のなくなった青衣の魔道士が解放したのだろう。完全に気を失っている女を見つめ、キーラに視線を移して、... -
国盗物語
認められる条件として資格は有効でした。 (13)
息をつめる感覚でアレクセイを見つめる。とっさに護ったが、衝撃までは防げない。だから彼が持ちこたえられるか、と不安だったのだけど、アレクセイと目が合ったことにほっと息を吐き出した。彼は大丈夫だ。ゆっくりと青衣の魔道士に視線を移す。 (なん... -
国盗物語
認められる条件として資格は有効でした。 (12)
「あら。ずいぶん遅いご到着ね」 小舟を降りて、島の中央に向かう。すると女が一人、佇んでいた。月明かりでは色彩がよくわからないが、すらりとした肢体の持ち主である。キーラは沖を見た。留まっている船から、合図の知らせはない。つまり女は船ではな...
