国盗物語– category –
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国盗物語
資格が無効になる日 (2)
(どうしてあたしは眠っているのよ) ぽかりと目を開けて、見慣れぬ天井を見上げ、キーラは硬直した。 灰茶色の地に、白色の薔薇が縫い付けてある幕が、外からの太陽光を遮っている。なにげなく枕元の水時計を見て、起床するにはずっと早い時刻だ... -
国盗物語
資格が無効になる日 (1)
かすかに音楽が流れる庭で、キーラは一人、満天の空を見あげていた。 傍らに果実酒の入った酒器と、彩り美しい料理を盛った皿を置いている。時折、酒を飲み、料理をつまみながら、星の数を数えていた。しっかりした目的で数えているわけじゃない。ただ... -
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間章(15)
――――なにか、あたしに協力してほしいことはない? ルークス王国の災いについて打ち明けられたあと、『話があるから』と云って、キーラはアレクセイの部屋に留まった。唐突な申し出に仲間たちは疑問を抱いた様子もなく、キーラだけを置き去りにし... -
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間章(14)
紙片に指名されている礼拝堂は、パストゥス王宮において異彩を放っている建物だ。 数代前に迎えた王妃のために用意された建築物なのだが、現在は宗教上の理由から使用する者もおらず、無造作に放置されている。王宮内にある建物には違いないから... -
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間章(13)
「黄金(きん)の女帝の『肉体』……?」 半信半疑の響きで、アレクセイは呟いた。 黄金、アダマンテーウス大陸を統一した女傑だ。大陸を統一しただけではなく、魔道士を生み出した、すべての種族と友誼を結んだ、別大陸への探索を企画した、などと、さま... -
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間章(12)
人が悪いな、と考えた。仲間たちに対しても、目の前の青年に対しても。 ただ、困惑はない。ルークス王から信頼されていた人物は、アレクセイの前に、友好的な笑みを浮かべて立っている。それがすべてだ。偽物王子に協力する、と無言で示している。青年... -
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間章(11)
(なかなかしつこいな) いま、アレクセイの手元には五枚の紙片がある。話がある、明日の早朝、礼拝堂に来てほしい。まったく同じ文章の紙片は、毎晩、寝室の机に置かれている。つまり五日間、アレクセイは無視し続けているのだが、紙片をよこした人物に... -
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間章(10)
マリアンヌ王女の王位継承権は第一位だ。ただ、本人はあの通り、強くなる目的に意義を見出しているから、次期国王はロズリーヌ王女を、と云う声もあるらしい。 (たしかに、そのほうが国民としても安心だ) なんといっても、妹姫には絶妙なバラ... -
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間章(9)
だが犯人探しにもっともふさわしい人物は、アレクセイ自身だろう。 なんといっても王宮に滞在している。貴族たちの情報を入手しやすい場所にいるのだし、日々、王女たちと身近に接している。つまり、普通の方法で捜索するにも、囮として捜索するにも、...
