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公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

試し読み

宝箱集配人は忙しい。

目次

01

 この国には「迷宮」と呼ばれるダンジョンがある。

 いつから存在しているのか、そう問われればこの国の誰もが「この国ができる前からさ!」と答えるだろう。けれどそんなに古くから存在するくせに、迷宮は長い間、立ち入りを禁止されていた。

 なぜか。決まっている、危険だからだ。

 けれど、二十年ほどむかし。とある冒険者が主張した。

 迷宮は魔物が跋扈しているから危険だと言う。にもかかわらず、その魔物がいまだに迷宮から出てこない理由は何か、という疑問を提示したのだ。

 要するに、迷宮に魔物なんていないんじゃね? と、追求したわけだ。

 だから当時の冒険者ギルドは国王に掛け合って、迷宮探索への許可を求めた。そして国王の許可が下りるなり、冒険者ギルドは迷宮の調査を始めたのだ。

 結論から言うと、魔物は存在していた。

 ただ、不思議なことに、迷宮に生きる魔物には、序列が存在していた。出入り口付近、一階に跋扈している魔物は、初心者でも倒せる程度の魔物だ。けれど、二階、三階、と迷宮を攻略していくほど、魔物たちはだんだんと強くなっていく。

 幾たびもの挑戦で、そんな事実を学んだ冒険者ギルドは、いよいよ本格的に、冒険者を迷宮へ投入していった。

 理由なんて決まっている。ギルドに所属する冒険者たちを鍛え、なおかつ、古代文明の痕跡を多く残す迷宮の謎を解明するためだ。

 その時だ。冒険者ギルドに、僕が現在、働いている部署が発足したのは。

 <宝箱管理室>----あまり重要視されてないけど、なかなか忙しい部署である。

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