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「24時間、料理の注文を承ります。」

公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

試し読み

宝箱集配人は忙しい。

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 意識を失いそうになったけれど、なんとか堪えた。

 さいわいにも骨折はしていない。他にも目立つ傷はないけれど、後遺症が出る可能性はある。この戦闘が終わったら医務室に行かなければ、と考えながら、僕は立ち上がった。

 レヴァナントと秘書どのが刃を交え、隙を狙って部下が攻撃を仕掛ける。その攻撃をやり過ごし、レヴァナントは手を振るう。僕はとっさに、狙われた部下に遮断の術式をかけた。再び、遮断の術式が弾ける音が響く。その音を聞いて、レヴァナントが僕を見た。

「ずいぶん余裕だな」

 秘書どのがそう言って、レヴァナントに蹴りを喰らわせる。バランスを崩したレヴァナントに部下が炎の術式をぶつけた。白い炎がレヴァナントをおおう。そんなレヴァナントから飛び退いて、秘書どのと部下たちが僕の前に立つ。

「無理はしていませんか、室長」
「ちょっとだけね。あとで医務室に行くよ」
「そうしてください。----ちょっと、時間がかかりそうですが」

 秘書どのがそう言ったのも無理はない。

 高温の炎に覆われたレヴァナントだったが、平然とした様子を崩さないのだ。レヴァナントの髪を焦がす匂いもしない。遮断の術式を使ってる? 僕が視線を向ければ、部下は頷いて雷の術式を仕掛けた。びくりとも揺らがない。効果なし。うん、これで確信した。

 レヴァナントは僕と同じ、いや、僕が扱うレベル以上の遮断の術式を使っていると。

 だとしたら、大剣を扱う秘書どのと双剣を扱う部下が攻撃の要になる。術式をメインに扱う僕と部下は、二人の支援に徹するべきか。そうして少しずつ皆でレヴァナントを削っていく。うん、時間がかかるね。遮断の術式に、同じ術式をぶつけて術式を打ち消す方法もあるけれど、これはリスクが高い方法だ。だとしたら、どうするべきか。

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