365のお題– category –
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365のお題
サクラ
遠い異国の花を咲かせる樹木が、その丘にはあった。 *** どさりと荷物を足下に置いて、男は窓から外を眺めた。視線は外に向かっていたが、意識は腰掛けている車内に向かっている。じろじろ見られている。そんな気がする。もちろん男の錯覚だと認識して... -
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好き
聞こえるなら、だれよりもその声がいい。見つめるなら、だれよりもその瞳がいい。 触れるなら、だれよりも、――――――。 あなた、が、いい。 004:好き▼(短文 恋している人間)SSにすらなっていない短文でごわす。御題が御題だけに、シンプルに収めたほうが... -
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再会
『ねえ、いまなにしている?』 携帯に数字が並ぶ。見覚えのない番号なのに出てしまったのは、眠れない夜にただ、退屈していたからだ。なのに耳元で響いたのは、不思議な馴染みのある声だった。でも思い出せない。誰だっただろう、と考えているうちに唇は勝... -
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秘密
「占いを頼む」 ショッピングセンターの片隅に、黒髪をのばした女が座っている。日焼けなど感じさせない白い肌に濃色のワンピースという組み合わせは、「占い師」という職業にはまり過ぎていた。少々浮いているのだが、占い師とはこうであれ、という願望が... -
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ほおづえをついて
「兄弟よ。ここはやはりセレストブルーであろうっ」「なにを云っているか。カーディナルほどふさわしい色はあるまいっ」 よく似た2人が目の前で言い争いをしている。ミカド・ヒロユキはぽかんと2人を眺めていた。やたらと豪奢なこの部屋には、さまざまな...