宝箱集配人は忙しい。– category –
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宝箱集配人は忙しい。
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15 駆けつけてきた自警団に、事情を話して襲撃者たちを引き渡した。 その時の自警団たちの様子から察するに、襲撃者たちにはどうやら余罪があるらしい。しっかり追求しておきますから! という言葉を信じて、僕たちはその場を去った。 しばらく無言... -
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14 「終わったぞ」 そう声をかけられて、僕は顔を上げた。 言葉通りに、襲撃者たちは累々と倒れている。その中で貴公子は息も乱さないまま立っていた。僕は苦笑して「おつかれさまです」と言って、倒れている面々を見た。思ったより若い。最後まで武器... -
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13 酒場から出ると、肌寒いと感じていた風が、ちょうどよかった。 「夜風が気持ちいいな」 まさに思ったことを貴公子が言ったものだから、僕はなんとなくおかしくなった。軽く笑って貴公子を見上げたところ、静かな眼差しに違和感を覚えた。遅れて僕も... -
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12 目的地の酒場に誘導しながら、僕はご機嫌な様子の貴公子に並ぶ。僕は決して背が低い方ではないんだけど(客観的な事実だ!)貴公子は僕以上に背が高い。ちょっとだけ見上げるような形で、これから向かう酒場について簡単に説明する。友人の料理人が開... -
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11 朝食は軽め、昼食はしっかり。では夕食はというと、僕の場合は飲むことが多い。 だから今日も、仕事を終えてなじみの店に足を向けた。 冒険者ギルドの建物から外に出ると、ちょっと肌寒いような気がした。そろそろ熱燗を注文してもいい頃合いだろ... -
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10 僕は息を吐いて、ソファから立ち上がった。自分の席に向かおうとして、部下たちが僕に注目していると気づく。どうしたんだろう。まあ、ちょうどいいか。僕は口を開く。 「三十一層の封印を解いてもらうことになったよ」 そう切り出せば、みんなの顔... -
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09 部下がやってきて、新たに淹れた紅茶を僕たちに出してくれた。ティーカップを持ち上げて一口飲めば、勇者も僕にならう。その仕草だって礼儀作法に則ったものだ。初めて会ったころは、もう少し朴訥なところが目立っていたけれど、修錬の成果だろう。 ... -
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08 僕を取り巻いていた力が、完全に消えた。 目を開ければ、そこは職場の仮眠室だ。唐突に僕が出現しても問題ない場所にドラゴンは送ってくれたのだ。事実、いま、この場所に僕以外の人間はいない。思わずホッと息をついたとき、トントントン、と扉を... -
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07 二十年間、冒険者ギルドは、迷宮に多くの冒険者たちを投入してきた。 古代文明の痕跡が多く残っているから、と思われているが、宝箱同様、秘められた別の理由がある。その理由に絡む存在が、いま、目の前で僕の説明を聞いているドラゴンだ。 そも...
