国盗物語– category –
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国盗物語
権利を主張できる資格は、とうにない。 (1)
とはいえ、くわしい事情も知らされないまま、唐突にあたりが真っ暗になったとき、平静でいられる人間は多くない。すでに目覚めていた民はざわめいて、混乱し、なかには叫び、怒号をあげる者もいた。予想してしかるべき、当たり前の反応だった。 「... -
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資格は活用してこそ (17)
ワザワイヲホロボシタワレワレニ、テッツイヲクダスタメニ――――。 (なに、それ) ロジオンが告げた言葉は、まるで異世界の言葉のように響いた。理解できない言語のような言葉は、でも遅れて意味を理解できた。災いを滅ぼした我々に、鉄槌... -
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資格は活用してこそ (16)
その朝の目覚めは、いつもとは違う感触で迎えていた。 がらんがらんと鳴り響く大鐘よりもずっと早くに起床したキーラは、冷たい空気に震えながらも、うん、とベッドの上で背伸びをした。それからさらに身体を伸ばして、すぐ近くにある窓にかけた... -
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資格は活用してこそ (15)
んー、と、身体を伸ばしたあと、キーラはかくかくと首を動かした。こり、こり、と身体が鳴るものだから、なんだか物悲しくなった。乙女としてどうだろう、この現状。 だがおかげさまというべきか。研究成果は確実に現れていて、暗闇にハナビを打... -
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資格は活用してこそ (14)
「マティアスはいま、サルワーティオーの、この宿屋にいる」 これから妹姫に合流するというマリアンヌ王女の誘いを断って、キーラは傭兵たちにマティアスの情報を求めた。するとアーヴィングの指示でサルワーティオーの地図が運び込まれ、一か所を... -
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資格は活用してこそ (13)
すっかり通い慣れた王宮は、実は今朝も訪れた場所である。 形ばかりは幽閉となっているルークス現王を診察したのだ。低下した免疫力を補うには、とにかく栄養価の高いものを食べて、適度な運動をして、ゆっくり眠ること。いまのところ効果がある... -
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資格は活用してこそ (12)
「おーはよー!」 呼び鈴が鳴ったから駆けつければ、ギルドの入口で能天気に笑うスキターリェツがいた。 なんとなく八つ当たりしたくなったが、理不尽だという自覚があったから黙り込む。にやにや笑いながら近づいたスキターリェツは、キー... -
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資格は活用してこそ (11)
(え?) アレクセイの反応に、ちょっとキーラは戸惑った。 なぜ依頼を受けたのか、依頼を引き受けたことによって芽生える影響への対応策もきっちり話したと云うのになぜその反応。困惑していると、たしなめるように名前を呼ばれる。 ... -
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資格は活用してこそ (10)
友人たちを王宮に送り届けて、キーラはアレクセイの執務室に足を向けた。 任務達成を報告するためだが、いちお、感謝を伝えておきたいという気持ちがあった。それから魔道士ギルドで受けたクリスチーヌの依頼も報告しておこうと考えたのだ。依頼...