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「24時間、料理の注文を承ります。」

公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

試し読み

レンズ

押入れから出てきたのは、懐かし、小学生の時に買ってもらった虫眼鏡だ。
これでいろいろなものを眺めていたのよねえ、と感傷にとらわれながら覗き込んでみる。

やめておけばよかった。

布団の上に這っているありの存在になんて気づきたくなかったよ、ちょっとどこから侵入したのよもー! 殺虫剤を買ってこなくちゃ。おやつにたかられたら最悪だわ!!

無邪気にアリを追いかけた自分はもうどこにもいない。

013:レンズ▼
(短文 成長した女)

なにげにさくっと残酷な短文。ちなみにわたしは幼いころはありを集めて、巣作りを観察したんですけど、いまはもう無理。あの感性、どこに行ったんだろ?

2011/08/24

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