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「24時間、料理の注文を承ります。」

公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

試し読み

シングルライフ

朝六時に起床。身支度を整え、六時半に朝食。
家事をこなしてから八時より在宅にて仕事開始。
途中休憩を挟みながら、十二時に仕事中断。
家事ロボットが用意してくれた昼食を食べる。
午後。仕事と称して雑事。読書とか色々。
十八時。夕食を終えて、あとは何もしない。
録画番組を見てくつろぎ、二十時ごろ入浴。
二十二時就眠。

(まさしく絵に描いたような規則正しい生活よねえ)

わたしは今日も一日を振り返って感心してしまう。
シングルライフってもう少しはっちゃけたものじゃなかったか。
少なくとも、自由な独身貴族としては慎ましい生活なのではないかと思う。

でも、まあ、仕方ない。

なにせ地球に生存していた人類は、わたしを除いて全て滅んだ。
もしかしたら、わたし以外にも生存している人類はいるのかもしれない。
でも危険とされてた外に出ていこうという気は起こらない。
だから確認できない。まあ、家の中にいても同じなんだけどね。

さいわいにも、整備された通販システムのおかげで、ドローンが食料他を持ってきてくれるし。
会社のシステムは毎月、給料を振り込んでくれる。不思議だよね~。
だから暮らせる。通販も続けられる。

ん?
通販購入した食料品が本当に安全かどうかって?

さあ、わからない。
なにせ、ニュース番組はもう、流れないんだもの。

だからおうちのHDDに録画しておいたテレビ番組を見ている。
楽しかった映画。忙しい時には見ることができなかったけれど、今だから観れる。

そろそろ残り少なくなってきたけれど、ねえ。
わたしの寿命と録画番組、どちらが尽きるのが早いと思う?

031:シングルライフ▼ 
(人類滅亡後 生き残った女) 

お題を見てこのネタがひらめいたんだけど、いざ書いてみたら、思ったよりもブラックな物語になっておののいています。ぶるるる。でもいかにも小市民らしい満喫方法だなあ、と思ってみたり。人類滅亡ってわたしが死んだ後に訪れて欲しいんですけれど、輪廻転生というものがあったら、生まれ変わった先で人類滅亡を体験する羽目になりそうだなあと思ったりするから、地球大事に戦争反対平和大事、と思ってしまう……。そういえば、漫画火の鳥で人類滅んだ後、ナメクジが文明を築く描写が描かれていましたねえ。

2019/09/04

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