廃園遊戯– category –
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カーニバル
「はいはーい。こちら文芸部においては、学生たちが腕をふるった作品を公開しておりまーす。ただいま無料配布中。ぜひぜひぃ」「こちらの料理部では、世界各国の料理をお楽しみいただけます。味は玄人も保証する美味しさ! お値段も保証いたしまーす」「... -
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金貨3枚
「片道金貨3枚と云うのは、相場から考えると安いのか? それとも高いのか?」「安すぎもせず、高すぎもせず、といったところかな。それじゃ身を削り過ぎだ。もう少し薄く皮を削れ」「……わたしはこういった作業に慣れていないのだ」「そうらしいな。いい... -
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道化師
新たな帝国皇帝が即位し、他国への侵略を再び始めた――。 新たなニュースが朝から街を騒がせている。朝食を買うために出かけたアルセイドは、ざわざわと落ち着かない心地でいる。思いだしてしまうのは、人ひとり残らず滅ぼされた故郷、踏みしだかれた白い可... -
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絶対者
「やれやれ、おとなしく講義に集中しているのだと思っておれば」「ミカド・ヒロユキを巡回使に落としたと云うぞ。あの者、血筋に問題はあれど、指揮能力は確かなものであったと云うのに」「しっ。代わりに赴かれたのはクルーガー将軍だと申しますぞ。ツィ... -
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宝石
「サイズ直し、ですか?」 いつもの講義の後の出来事である。イストールが云いだした言葉に、アルテミシアはいぶかしい想いで言葉を繰り返した。端整な顔をピクリとも動かさない教師は、彼女の困惑にも動じたりはしない。淡々と事務的に言葉を続ける。 「... -
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小さな約束
ふわりと香り高い野菜スープを持ち込んでも、魔女が目を覚ますことはなかった。 アルセイドは溜息をつき、ベッドサイドにあるテーブルに食器を置いた。彼女の青白い顔に揺らぎはない。これで丸一昼夜眠っていることになる。長過ぎないか、とは、不安がもた... -
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花束
(困ったなあ……) それがマヤの正直な感想だ。主人の元に次々と届けられる花束、いずれも高貴なる方々からの贈り物だと知る彼女には決して粗末に扱うことなどできない。ましてや、主人の評判を左右しかねないとあってはなおさらのことだ。先輩の侍女に相談... -
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後継者
2人きりの講義は、正直息が詰まる。ましてや、相手がピクリとも表情を動かさぬイストールであれば、だ。 アルテミシアは両手を膝の上にそろえて、イストールの淡々とした声を聴いている。記録紙の類の持ち込みは、講義内容から禁じられている。だから聴き... -
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混血
皇宮を出て、ようやくミカドは表情を崩した。 将軍職を解かれたばかりだと云うのに、痛快な気持ちが遥かに強い。馴染みの警備兵に手を挙げて、鼻歌でも歌いだしそうな様子で歩き続ける。送りの馬車は煩わしいから断った。 久しぶりの皇都なのだ。ゆっくり...