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「24時間、料理の注文を承ります。」

公開している創作を大幅に書き直して、2022年11月、文芸社より発行していただきました。

現在、発売中です。

試し読み

的中

(――――あ、)

馴染みの本屋から歩き出した時、知り合いを見かけた。よく話をする、わりと仲の良い同期。
彼のことを話した友人からは「好きなんでしょ」と突っ込みを受けた。そうなのかなあ、とぼんやり考えた端から、自分で否定した。

だって、彼にはもう付き合っている人がいる。
そんなたぐいの話をしたことはないけれど、雰囲気や他の人との話から、なんとなくわかるものだ。

(ほらね)

誰かに語りかけるように、心の中で呟いてみる。ほらね、彼には可愛い彼女がいたでしょう。
推測していたことだから、落胆なんてしない。しないのだけど、不思議なことに、瞳は彼から離れなかった。歩いていく二人はやがて視界から消える。そのぎりぎりまで、立ち尽くしたまま見つめる。初めて見る、彼。ぐっと絡んでいる手と手のひら。

(ほらね)

今度の呟きは、なんだか無意味だと感じる。小さなきしみをどこかで感じている。
どうしようもなく、自覚してしまいそうだ。

あの人には付き合っている人がいる。その予感が的中して、沈んでいるこの心の名前に。

012:的中▼
(現代もの 誰かに片想いの彼女)

ちょっと間が空いてしまいました。だからというわけではないけれど、短文です。ホースからの水をわざとぶつけて「あらごめーん」って感じで始まる恋愛を書こうと思ったのですが、指はいつの間にか、このようなしっとり系を書いておりました。や、しっとりというより切ない系?? つか、この違いはどこから来るのだろう。違いがまだ分からない女、深谷みどりでした。

2011/07/29

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