宝箱集配人は忙しい。– category –
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宝箱集配人は忙しい。
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【37】 貴公子の案内によると、僕たちがいる場所はやはり、魔王が住んでいる城だった。先日、旅立った勇者の目的地でもある。僕たちが出会った王都から距離がかなりあるはずなんだけど、貴公子は魔王だから転移魔法で移動していたらしい。転移魔法って便... -
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【36】 「問題はないか」 やがて、ダークエルフの彼女を従えた貴公子が、僕の休む部屋にやってきた。 これまで会うときとまったく変わらない服装でやってきて、開口一番に告げた言葉がそんな言葉だったから、僕は苦笑してしまった。 「ええ、大丈夫で... -
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【35】 目を閉じたままでもわかる。僕はふわふわとしたやわらかなものに包まれていた。やわらかく温かく、心地いい。うっとりと唇がほどける。自らの、そんな動きで意識が戻る。 でも瞳は閉じたままだ。 なぜってとても心地よかったんだ。心の底から... -
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【34】 さて、どんな一日だったとしても、お腹は空く。 というわけだから、今日も今日とて、僕はいつもの酒場に向かったんだ。なにしろ盛りだくさんの一日だったにもかかわらず、お昼ごはんは携帯食で済ませてしまったからね。秘書どのと別れる頃には... -
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【33】 「愚妹が迷惑をおかけしました」 秘書どのは公私をきっちり分けるタイプだ。だから本日の業務をすべて終わらせてから、そう言って頭を下げた。いま、この場には僕と秘書どの以外はいない。ただ、ほかのメンバーが退勤間際に見せた、心配そうな表... -
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【32】 当たり前なんだけど、太陽の光はこんな場所にも差し込むんだなあ、と僕は考えた。 こんな場所、すなわち牢だ。どうしてそんな場所にいるかと言えば、王女さまの侍女が激高して、僕を捕らえさせたからである。 客として迎えた僕に対しての捕獲... -
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【31】 正直に言ってしまってもいいだろうか。んなこと、知るもんか、と。 だって、そうだろう。確かに僕は勇者と会話をする。けれど、彼の事情に踏み入れるような会話を交わしたことはない。いつだって、迷宮探索に関わる内容だ。彼が好ましく感じて... -
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【30】 人間の器って、自分の間違いに気づいた時に現れるもんだ、と僕は考えている。 だからこのとき、王女さまがどういう行動に現れるのか、興味深く捉えていたんだ。少々下世話な好奇心だけど、王女さまの勘違いに振り回された身には、このくらいの... -
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【29】 一国の王女さまが冒険者ギルドの一職員である僕を追跡させる。目的も動機も不明なままだけど、秘書どのがこの件を引き受けてくれたんだ、問題はないと考えてた。 考えていたんだけどね、それは少々、甘かったみたいだ。 僕は今、なぜだか王宮...