宝箱集配人は忙しい。– category –
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宝箱集配人は忙しい。
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【28】 姿を見せた騎士たちは、秘書どのに向けて膝をついた。 それに対して、秘書どのがゆったりと腕を組む。脇からちらりと見上げれば、冷ややかな眼差しを騎士たちに向けていて、おお王族っぽいなあと僕は考えていた。 すっかり他人事の意識でいる... -
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【27】 素直に言ってしまおう。秘書どのとの夕食は、楽しかった。 偏った会話になるかと思いきや、そんなことはなく、僕はこれまで知らなかった王宮の事情までも知った。王宮には王族と賓客の料理を用意する第一料理人と、王宮勤めの騎士や文官たちの... -
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【26】 ところで秘書どのは元王太子なのである。王族なのだ。 だから市井には詳しくないだろうと考えていた。なので、いつもの酒場に行こうかなあと僕は考えたんだけど、秘書どのがぜひにと言って自分のなじみに連れて行ってくれた。 ちょっとした、... -
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【25】 「室長」 秘書どのの呼びかけを受けて、僕はパチリと目を開けた。 いつの間にか、僕は眠っていたらしい。そんなに長い時間ではないと思ったんだけど、窓の外はすっかり暗闇に沈んでいた。身体をおおっていた術式は消えている。 おそるおそる... -
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【24】 結論から言えば、僕の提案は却下された。 なぜならレヴァナントには僕たち以外の冒険者に姿を見せるつもりはなく、攻略に訪れた相手には、レヴァナントの分身をぶつけるつもりだと言われてしまったからだ。加えて、レヴァナントが用いた肉体修... -
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【23】 まあ、単純な話だ。 僕は強化の術式を皆にかけた。とりわけ効果の強い術式を、攻撃術式の使い手にかける。これで彼女の術式は強化されたはずだ。とびきりの大技をしかけてやれ、と指示を出せば、僕の意図を汲み取った部下は、自身でも強化の術... -
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【22】 意識を失いそうになったけれど、なんとか堪えた。 さいわいにも骨折はしていない。他にも目立つ傷はないけれど、後遺症が出る可能性はある。この戦闘が終わったら医務室に行かなければ、と考えながら、僕は立ち上がった。 レヴァナントと秘書... -
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【21】 どちらかといえば、僕は過集中するタイプだ。 特に興味が強い分野に携わると、時間を忘れるほど没頭する人間だから、この職務についてから、意識して集中しないようにしている。だからこのときも、集中しすぎないように、全体を眺めながら行動... -
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【20】 戦闘を繰り返しながら、奥に進む。今回、解析を進めている三十一層は比較的素直なダンジョンだと感じた。ひねくれたギミックがない。隠し部屋は存在していたけれど、すぐに理解できるギミックだったから、この階層の解析はすぐに終わるんじゃない...