廃園遊戯– category –
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遺跡
魔女と別れる際、簡単に遺跡の動かし方を教わった。複雑なものは教わることが出来なかったが、それでもドワーフと接触することは出来る。 かつて魔女と2人訪れた場所に、今度はひとりで立つ。連れの男女は、少し離れた位置からアルセイドを見守っていた。... -
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荷馬車
がたがたとゆれる荷馬車から空を見上げる。気は急いているのだが、これが最も確実安全なルートと云われたものだから、アルセイドは自分を押しとどめている。 荷馬車と云ってもわらを運ぶに馬車であるがために、横たわっている背中がちくちくする。起き上が... -
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マント
ふむ、と思案の鼻息が二重になって響いた。セイブル侯爵家双子の子息は、居間中に様々な布を広げて検討の最中だ。 とはいえ、色ははっきりしている。赤と青。ただ薄い色合いのものから濃い色合いのものまで、様々に取り集めているからこそ、居間の床が埋ま... -
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魔法使い
夜が明けた。魔女と出会ってからのすべて、知ることのすべてを話し終えたアルセイドは、予想外に受け入れられたことに驚いた。世界が滅びにむかっている、などとは、常人には到底信じがたい話のはずだ。 ただ、シュナール老の傍らにいた女が告げた言葉によ... -
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結界
一度閉じられた部屋は真っ暗闇で不安を誘う。 だがすぐに魔法使いは、灯りをともしたものだから、じっくりと中身を観察することが出来た。懐かしい形式の、ぴかぴかとした建物。これが500年以上昔の内装だとは誰も思うまい。 内側から外を眺めれば、するす... -
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塔
辺りの住民はその塔のことを「天空の塔」と呼んでいるらしい。天空に届くほどの高さであるから、と云うのがその理由なのだが、魔女にはいささか安直な理由付けだと感じられる。 だからと云って、別の名前が思いつくかと云えば思いつくわけではない。あえて... -
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傭兵
「こっちだぜ、疾風のアルセイド」「あの、その呼びかけ、やめていただけませんか」 先を歩く男に、赤面したアルセイドは懇願した。どうして、と大げさに目をみはる男は、にやにや笑いを浮かべたままだ。つまりアルセイドの困惑を充分理解しているというこ... -
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凍った森
「エターナル。防護壁を俺のまわりに張り巡らせることが出来るか」「かしこまりまして」 ぶんとかすかな音が男のまわりを囲む。安心を確信して、足を進めた。街の外れの、さらに外に向かった。そこはもはや、魔法が及ばない場所だ。すなわち、空気もない場... -
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手紙
――親愛なる、ミカド兄さま 皇帝となった乳兄妹からの手紙は、いつもそんな書き出しから始まっている。例外はただ一つ、ミカドを皇宮に呼び戻す時の命令書の時だけだ。あれ以前にも、あれ以降にも、届いた手紙はいつもそんな書き出しから始まっている。他で...