NOVEL– category –
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宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
12 目的地の酒場に誘導しながら、僕はご機嫌な様子の貴公子に並ぶ。僕は決して背が低い方ではないんだけど(客観的な事実だ!)貴公子は僕以上に背が高い。ちょっとだけ見上げるような形で、これから向かう酒場について簡単に説明する。友人の料理人が開... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
11 朝食は軽め、昼食はしっかり。では夕食はというと、僕の場合は飲むことが多い。 だから今日も、仕事を終えてなじみの店に足を向けた。 冒険者ギルドの建物から外に出ると、ちょっと肌寒いような気がした。そろそろ熱燗を注文してもいい頃合いだろ... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
10 僕は息を吐いて、ソファから立ち上がった。自分の席に向かおうとして、部下たちが僕に注目していると気づく。どうしたんだろう。まあ、ちょうどいいか。僕は口を開く。 「三十一層の封印を解いてもらうことになったよ」 そう切り出せば、みんなの顔... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
09 部下がやってきて、新たに淹れた紅茶を僕たちに出してくれた。ティーカップを持ち上げて一口飲めば、勇者も僕にならう。その仕草だって礼儀作法に則ったものだ。初めて会ったころは、もう少し朴訥なところが目立っていたけれど、修錬の成果だろう。 ... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
08 僕を取り巻いていた力が、完全に消えた。 目を開ければ、そこは職場の仮眠室だ。唐突に僕が出現しても問題ない場所にドラゴンは送ってくれたのだ。事実、いま、この場所に僕以外の人間はいない。思わずホッと息をついたとき、トントントン、と扉を... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
07 二十年間、冒険者ギルドは、迷宮に多くの冒険者たちを投入してきた。 古代文明の痕跡が多く残っているから、と思われているが、宝箱同様、秘められた別の理由がある。その理由に絡む存在が、いま、目の前で僕の説明を聞いているドラゴンだ。 そも... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
06 『おぬしも懲りない男だなあ』 呆れを隠さない言葉が、僕の脳内で響く。同時に、るるる、という音が耳に届く。 激しく呼吸を繰り返している僕は、ぐったり床に横たわっている。部下たちには見せられない情けない姿だが、そんな僕を見ているのはたっ... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
05 秘書どのの妹、つまりこの国の王女さまはなんと、勇者に一目惚れをしたのだという。 王女さまは、勇者こそ自分が待ち望んでいた運命の相手だと公言し、公務の合間に勇者を追いかけているらしい。勇者一行に加わった女神官に牽制することもあるとか... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
04 「勇者、か」 部下たちに指示を出して、僕は紅茶を飲みながら呟いた。 部下たちはすでに動いているから、いま、この部屋にいる人間は、僕と秘書どのの二人だけだ。僕達も次の仕事に取り掛からなければならないんだけど、全員に指示を出していたら喉...
