NOVEL– category –
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国盗物語
いつかまた。再会を希う心に、資格など無粋です。 (4)
ようやくたどり着いた国境地帯、うっそうとした森の入口に馬を止めた。 首筋を撫でてやれば、よくしつけられている馬は、キーラに鼻先を摺り寄せる。待っててね、と、小さくささやいて、マティアスと共に森に進んだ。 まだ陽が明るいときに着いたが... -
国盗物語
いつかまた。再会を希う心に、資格など無粋です。 (3)
天空要塞自爆後、キーラが倒れていた場所は、王都サルワーティオーから馬で半日ほど走らせたところだった。王宮の様子も魔道ギルドの様子も知らされず、ただそれだけを教えられ、キーラはもどかしく感じながら、あちこち身体の動きを確認した。 ... -
国盗物語
いつかまた。再会を希う心に、資格など無粋です。 (2)
「ご挨拶だな。わざわざ迎えにやってきた人間に、開口一番、告げる言葉がそれか」 太陽の光が背後からマティアスを照らし、彼の表情をあらわにさせない。 やれやれ。まだ、どこかだるいような感触のある身体を動かし、キーラは上半身を起こした... -
国盗物語
いつかまた。再会を希う心に、資格など無粋です。 (1)
遠く遠く。なぜかどうしようもなく懐かしい声が、キーラの名前をくりかえしていた。 なにも考えられない、ぼうっとした状態のまま、キーラは声が響く方向に歩こうとする。でも近づけない。あたりまえだ、なぜなら身体はまったく動かないのだから... -
国盗物語
権利を主張できる資格は、とうにない。 (12)
魔道による暗闇がさあっと晴れていく。 宿泊している部屋の窓から、魔道を維持していた魔道士が、がくりと地面に膝をつくさまが見えた。周りにいた魔道士が回復の魔道をかけている。しかし確かに消耗しているようだが、命が脅かされるほどの消耗... -
国盗物語
権利を主張できる資格は、とうにない。 (11)
「大丈夫よ」 動揺する二人を安心させるために、出来れば笑顔を向けたかったが、表示板における攻防が激しくなってきたため、かろうじて動く口で安心させるしかなかった。 「二人とも、あたしが諦めの悪い人間だと知ってるでしょう」 ... -
国盗物語
権利を主張できる資格は、とうにない。 (10)
右手が熱い。いちばんはじめに、そう感じた。 けれどその熱が、まだ鈍くなっていた感覚を引き寄せていく、よすがになってくれた。キーラはゆっくりまばたいて、視界を取り戻した事実に気づいた。視覚だけではなく、聴覚触覚も取り戻している。そ... -
国盗物語
権利を主張できる資格は、とうにない。 (9)
あたりまえのように認識していた、すべての感覚が遠ざかっていく。 触覚も聴覚も視覚も力任せに奪われ、失われていく感触をどう表現したらいいのか。 キーラは間違いなくここにいる。存在している。心は存在し続けている。 だが容赦なく、キ... -
国盗物語
権利を主張できる資格は、とうにない。 (8)
すでに里長は息をしていない。ひとめですぐに分かった。 それでも駆け寄ろうとしたメグを押しとどめて、キーラは鋭く扉向こうの部屋を見た。 他の部屋と同じ、金属製の部屋だが、なにかがあるはずだ。意識体には直接、人間を殺害できない...
