NOVEL– category –
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廃園遊戯
赤い屋根
ガイアより扉をくぐりぬけた先には、好奇心と心配とでいっぱいの顔が並んでいた。アルセイドたちが無事に帰ってきたことを知ると、わっと安堵の表情が広がる。アルセイドは魔女と顔を見合わせ、少しだけ微笑みあった。家族もいない2人だが、見知らぬ人の... -
廃園遊戯
異人の踊り手
どこまでも続くかと思われた草原は、あっけないほど簡単に終わってしまった。初めて歩くガイアの地は、セレネとさほど変わらない。空気の臭いも、草や土の感触も、全く同じだ。歩く感触も違いはない。 ただ空には青い月がない。そのガイアに訪れているのだ... -
廃園遊戯
大きな樹
集まっていた人々は、いざ若長が地上に降り立つと、わっと散った。それでいて好奇心を隠せない、といった様子で、おそるおそる物陰からこちらをうかがっている。 アルセイドは彼らの様子にかまわず、若長の背中から滑り降りて、橋が入った袋も地上に下ろし... -
廃園遊戯
運命の女神
地上よりはるかに温度が低い上空を、竜の背中から感じている。アルセイドが乗っているのは竜族の若長の背中だが、他のレジスタンスはあれから集った竜族の背中に乗っているはずだ。人間が若長の背中に乗るなどと、と渋った竜族もいたが、若長が笑って快諾... -
廃園遊戯
罪の記録
「まさかこのような形であなたに再会することになるとは思いませんでしたよ、ロクシアスさま」「それはわたしの言葉だ、イストール。あなたはとうに、宰相の地位から退いたと思っていた」 帝国皇帝アルテミシアが遁走した以上、帝国の代表は宰相たるイスト... -
廃園遊戯
浮島
しゅこーと耳元で響く音がする。初めて身につける服はずいぶんごわごわしていて、アルセイドには動きづらいものとなった。正直なところを云えば脱ぎ去りたい。だがこれがなければ、アルセイドは命を失うという。 まるでレジスタンスの隠し場所がわかってい... -
廃園遊戯
焚火
皇宮の外に出ることが出来た。見知らぬ街の屋台でものを食べることも出来た。満天の星空の下、野外で眠ることも出来た。 深呼吸をして、アルテミシアは青き月を見つめる。ガイア。人類が生まれ育った、かつての故郷。そして戻らなければならない故郷。振り... -
廃園遊戯
自由
風にたなびく髪が煩わしくて、ひとつにまとめた。海の香りは、やはりかぐわしい。 魔女は今、レジスタンスの用意した船で竜族に会いに向かう途中だ。傍にアルセイドの姿はない。彼はドワーフの街に向かっている。かつて接触した場所を想ってだろう、あまり... -
廃園遊戯
割れた卵
――その瞬間は唐突に訪れたのだ。 異変に最初に気付いたのは、セレネの全土を回っていた魔法使いである。食事の途中であった彼は、唐突に顔色を変え、立ち上がり部屋を出て行った。まわりの者はいぶかしげに顔を見合わせていたものの、やがて同様に血相を変...
