NOVEL– category –
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廃園遊戯
亡霊
秘められた通路の向こうに、その部屋はあった。光源が足りぬ通路を、ミカドが先に立って歩く。繋がれたままの手をどこか頼もしく、どこかせつない想いでアルテミシアは見つめていた。扉の前に立ち、ミカドが所有していた剣で指を傷つける。ぷくりと浮かび... -
廃園遊戯
盗賊と城
扉を開かれたのは、夜の化粧を済ませたあたりだった。アルテミシアは顔を上げ、自室に入室してくる警備兵に眉を寄せた。ただ、それは荒々しく入ってくる動作に対するもので、状況に対するものではない。落ち着き払って、ゆったりと立ち上がった。 「何事で... -
廃園遊戯
賢者の石
「状況を整理しよう」 別室にアルセイドと魔女を引き連れた男は、しばらくの沈黙の後にそう切り出した。その口元を手の甲で押さえているのは、3人きりになった途端、魔女が蹴りを放ったからである。「拳じゃなくて足が来るか!?」とかなんとか男はぼやいてい... -
廃園遊戯
故郷
――このセレネでは、どこに行っても、あの青き月ガイアが目に入る。まるであるべき故郷の存在を忘れさせないためのように。 「どうしても、行くのか」 出来るだけ気配を消したつもりのイストールは、突然背後からかけられた声に動きを止めていた。この数日、... -
廃園遊戯
風見鶏
「失礼します」 声をかけて入室する。窓際で静かに本を読んでいた女主人は顔をあげ、『お疲れさま』と声をかけてくれた。ささやかな喜びを感じながら、マヤは云いつけられたお茶の用意を始めた。ふわりと香り高い茶の香りが漂うと、本から顔をあげて和んだ... -
廃園遊戯
審判の日
「アルセイド!」 部屋に入るなり、わっという歓声が2人を包んだ。会議中なのだから後で入室する、という主張を押し切られたのだが思いがけない事態である。ここには各地のレジスタンスが集まっていると云ってもいい。どこかで見かけたような顔もあるし、... -
廃園遊戯
嘆きの歌
ミカド元将軍の供として皇都に入る。今回は戦勝報告ではなく、ミカド・ヒロユキの実家に向かうという。 エミールは将軍の従者ではあったが、なんというか、ミカド・ヒロユキの強烈な兄たちによって、皇都に向かうこととなった。しばらくは戦地に出ることな... -
廃園遊戯
王冠
その部屋に入るなり、だん、と、ミネルヴァは壁を拳で叩いた。部屋にいた人間の注意が一斉に彼女に向く。 中央にいた兄が目を細めて、妹の名前を呼んだ。まわりにいた人間が、2人を交互に見つめる。やがて1人、2人、とその場から立ち去った。最終的にそ... -
廃園遊戯
自由市場
「グレイ?」 不思議と聞き馴染みのある声に呼びかけられ、ミカドは店先で検分していた果物から振り返った。顔色を変える。そこにいたのは数か月前まで彼の副官をしていたシーナだ。 にっこりと嬉しそうに微笑みかけられ、持っていた果物を取り上げられる...
