NOVEL– category –
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廃園遊戯
通行許可
「体力がおまえほどあるわけではないのだ」 ぶちぶちと云い訳を繰り返しているのは、アルセイドの後方を歩く魔女だ。それほどの速さで歩いているつもりはなかったアルセイドは、足を止めて魔女を待つ。一刻も早く辿り着かなければ、と、気が焦っていたらし... -
廃園遊戯
裏切り
久しぶりに会うミカドは少しばかり、様子を変えていた。頬がやせていることもあるが、眼差しの鋭さが増している。 将軍、と呼びかけそうになって、エミールは、その張り詰めた空気に口をつぐんだ。彼は今、シーナの報告を聞いている。例の、雨量の問題だ。... -
廃園遊戯
吟遊詩人
竪琴が最後の音を奏でたとき、初めにあたりに満ちたのは感嘆のため息だった。 演奏していた吟遊詩人が優美に一礼をすると、我を取り戻した観衆は圧倒的な拍手をその吟遊詩人に贈った。興奮したように、隣に立つ者といまの演奏について語り合う者もいる。そ... -
廃園遊戯
指輪
この待遇の違いはなんだ。お金持ちの子息という誤解が解けて以来、アルセイドはその疑問を捨てきれないでいる。 今アルセイドがいるのは、海賊の島だ。いちばんの下っ端として、台所仕事を手伝わされている。だが、同じく人質であった魔女は、悠々と海賊の... -
廃園遊戯
海賊の島
セレネ全体にかけられた魔法が途切れるまでに、人類、魔法使い、妖精、竜族、ドワーフ、エルフ、すべての種族<スティグマ>の和を成す。そしてガイアより訪れた種族をガイアに戻し、セレネに本来住んでいた種族にこのセレネを返還する。それがアルセイド... -
廃園遊戯
勇者と魔王
「彼らは逃げだしたようですね」 帝国皇帝の私室である。 カウチから呼びかけると、医師の制止を振り払ってきたのだろうイストールが眉を寄せた。落ち着き払ったアルテミシアの様子を見て、くっと喉が音を立てる。相手は彼の主ではない。アルテミシアだと... -
廃園遊戯
世界
翠色の瞳がすうっと細められた。綺麗に紅を塗られた唇が開き、そして閉じる。険呑な光がその瞳に宿り、雄弁より恐ろしい沈黙が帝国皇帝のまわりに落ちた。 怒っているのだろう、とアルセイドは冷静に感じていた。価値もないと云われて怒らぬ人間はいない。... -
廃園遊戯
しるし
「シーナさま!」 将軍室を一礼して出ていくシーナは、いつもよりもいっそう疲れているように見えた。 新しく赴任してきたクルーガー将軍は、優秀な将軍ではあるのだが、身分で人を判断するところがある。ところがミカド将軍の幕僚は平民出身の者が多いの... -
廃園遊戯
復讐
「アルセイド」 そう呼びかけてきた魔女の声音には、あまりにも複雑な調子だった。 呼びかけの響きに胸を突かれ、次いで黄金色の髪をした娘に注意が向いた。誰に教わらなくとも、彼女が帝国皇帝アルテミシアだと理解できる。くすりと含み笑って立ち上がっ...
