NOVEL– category –
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廃園遊戯
契約
居心地の良い部屋で、居心地の悪い感触を覚えている。 ふかふかのじゅうたんと天蓋つきのベッド、装飾過剰の衣装棚。笑ってしまうほど典雅な貴族風のインテリアだ。二重になっているカーテンを開けてみれば、無粋な鉄格子が見える。溜息をついて、ふかふか... -
廃園遊戯
牢の中の囚人
手錠をかけられたまま歩くのは、やはり不便なものだった。それでもあの牢屋から出されたことに何かしら期待するものがある。 アルセイドが気にかけているのは、帝国の将軍に捕らえられた際に離れ離れになった魔女のことだった。なにしろ侵略の目的が魔女で... -
廃園遊戯
うれた果実
「ミカド・ヒロユキを再び将軍に任命する――か」 皇宮内における、セイブル侯爵に与えられた私室において、ふん、と鼻で笑う音が二重に響いた。 部屋にはセイブル侯爵と双子の侯爵家子息とがそろっていた。皇帝の従者が掲げてきた命令書を恭しく受け取り、... -
廃園遊戯
黒い肌
「して、いまさら何の御用かな。この箱庭の管理を放棄した一族の者よ」 穏やかな響きで突き付けられた言葉は、2人の皇族から言葉を奪った。好々爺の笑みを浮かべ、穏やかな響きで言葉を話す生き物、――しかしその眼差しだけは冷ややかなものであることに気... -
廃園遊戯
巡礼者たち
――その場所に訪れたのは、フードをかぶった2人連れだった。 無造作に石を組み立てられた場所だ。ただしそれは巨人でなければ不可能だろうと云う巨石が組み立てられた場所でもある。その足元に1人が歩み寄り、苔に覆われた石を丁寧な手つきで調べた。 残る... -
廃園遊戯
ペルソナ
「下がれ!」 宰相閣下の言葉に、皇帝付きの侍女たちはいっせいに従った。あわてて閉じられた扉に、がしゃーんと何かが叩きつけられる音がする。 ほう、と息を吐き出したひとりの侍女が、おびえを隠しきれない様子で別の侍女に話しかける。 「このところ... -
廃園遊戯
カーニバル
「はいはーい。こちら文芸部においては、学生たちが腕をふるった作品を公開しておりまーす。ただいま無料配布中。ぜひぜひぃ」「こちらの料理部では、世界各国の料理をお楽しみいただけます。味は玄人も保証する美味しさ! お値段も保証いたしまーす」「... -
廃園遊戯
金貨3枚
「片道金貨3枚と云うのは、相場から考えると安いのか? それとも高いのか?」「安すぎもせず、高すぎもせず、といったところかな。それじゃ身を削り過ぎだ。もう少し薄く皮を削れ」「……わたしはこういった作業に慣れていないのだ」「そうらしいな。いい... -
廃園遊戯
道化師
新たな帝国皇帝が即位し、他国への侵略を再び始めた――。 新たなニュースが朝から街を騒がせている。朝食を買うために出かけたアルセイドは、ざわざわと落ち着かない心地でいる。思いだしてしまうのは、人ひとり残らず滅ぼされた故郷、踏みしだかれた白い可...
