NOVEL– category –
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廃園遊戯
死神
大したものだな、とアルセイドはあっけなく辿り着いたエルフの街で独りごちた。瞬時に場所を移動させるという「魔法」の道具をエルフの代表者から受け取っていたのだが、2度目の使用時には、拍子抜けするほどなめらかに空中を泳いだ。肩からイストールを... -
廃園遊戯
醜い鳥
(すべてをおまえの思い通りにはさせない) 云われたばかりの言葉を反芻して、アルテミシアはふふ、と笑った。とすんと、椅子に腰かける。ともあれ、邪魔なイストールを追い払うことが出来た。今回の感謝はそれに対するものにしよう。 そう思いながら、ふ... -
廃園遊戯
太陽と月
毒など入っておりませんからご安心くださいませ。 そう云われた薫り高い紅茶を飲みながら、アルセイドは戸惑いを隠せないでいる。テーブルの向こうに腰掛けるのは帝国皇帝アルテミシア。少なくともレジスタンスに所属するアルセイドにとっては不倶戴天の敵... -
廃園遊戯
聖域
しゃああああん。クリスタルの時計は、ガラスとガラスをこすりあわせたような不可思議な音で時を知らせる。草むらに倒れ伏したまま、アルテミシアはその澄んだ音を聞いていた。その目元は赤く、頬には幾筋も流れた涙の跡がある。靴もストッキングも脱ぎ捨... -
廃園遊戯
王子と姫
「――気に入らないネエ」 キセルをぶらぶら揺らしながら、女が呟くと、たしなめるような眼差しを男が向けた。2人が向かう先には、端麗な容姿をした兄妹がいる。竜族がゆったりと海岸から離れていくさまを見送る様子は、実に皇族らしい品の良さに満ちている... -
廃園遊戯
二律背反
「魔女……!」 呼びかけてアルセイドは立ち上がろうとした。ところが慣れない態勢で腰掛けていたものだから、容易にそれは叶わない。 ふふ、と軽やかな笑声が響く。その声音通りに動き、そして手を差し伸べてきた魔女の腕を逆につかみ、抱きしめていた。 「... -
廃園遊戯
来訪者
くつくつと沸騰した釜から、湯が一杯分すくいとられる。見たこともないカップに入れて、シャカシャカとかき混ぜたものを手渡された。まるで森の緑を切り取ったような茶である。先程食べたお菓子の甘さが口の中に残っているが、くい、とアルセイドは飲みほ... -
廃園遊戯
エルフ
ここまであからさまな罪人扱いは初めてのような気がする、とアルセイドは内心呟いていたが、いや? と思い直した。他でもない帝国で囚人となっていたのだった。 いずれにせよ、この現状はアルセイドに焦りをもたらすものではない。それより珍しい木製の牢... -
廃園遊戯
刺青
シーナは去り、男二人の旅となった。正直なところ味気ないと云うべきだろうが、アルセイドとしてはようやく安定した心地を取り戻している。やはり感情不安定な女性の様子は、こちらにも影響を及ぼしていたのだ。まったくの憂いがなくなったわけではないが...
