NOVEL– category –
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廃園遊戯
花売りの娘
将軍につき従い、皇都に入る。そんな体験は初めてだが、皇都自体は珍しくない。なにしろエミールの故郷であるからだ。 将軍から許可をいただいて、実家に走っていく。母親は元気だろうか。父親は元気に頑固に仕事をしているに違いない。妹は。 そう思いな... -
廃園遊戯
墓標
「これは……」 言葉を失ったミネルヴァは、おびただしい数の墓標に言葉を失った。その数だけ死者がいる。その数だけ殺された人物がいる。 ――すなわち、妹であるアルテミシア帝国皇帝に、殺された人物がいるということだ。 (どうしたというのだ、アルテミシ... -
廃園遊戯
ドワーフ
「云っておくが、盗人とはいかなる理由があっても交渉はせぬぞ」 妖精の一族と共にドワーフの村に辿り着き、見覚えのある長老の第一声がそれだった。 少し離れた場所に、悠然とした様子の魔女がいる。その姿を見るだけで心がほぐれたが、長老の言葉には身を... -
廃園遊戯
戦装束
「おかしいと思われませんか、お2人とも」 号外を放り出して、シーナは2人を追及した。老人と大男はそれでも飄然とした態度を崩さない。いらだたしげに髪をかきあげ、次にぶつける言葉を考える。だがそんなシーナにぶつけられたのは次のような言葉だった。... -
廃園遊戯
成長する種
スティグマの和を成すためにここに来たのであって、子供の喧嘩の仲裁をするために来たわけではないのだが、とアルセイドは目の前の喧騒を見ながら思ってしまった。 1人の妖精が歓迎の言葉を告げた途端、ドワーフの男が口汚く罵り始めたのである。毎日遊び... -
廃園遊戯
踊る妖精
「その水の中に入ろうとするなよ。人間には猛毒になる」 いかにも渋々、と云った様子で、鉱水の中に入ろうとしたアルセイドをドワーフが制した。会議場では見かけなかったドワーフ、だと思う。危うく水の中にもぐりかけたアルセイドは慌てて身体を引き上げ... -
廃園遊戯
足跡
会議場を出れば、どたばたと重い足音を立てて走るドワーフたちとすれ違う。ちらちらとこちらに視線を向ける者はいるが、それどころではないようで、足を止める者はいない。 何が起きているんだ、と不思議に思いながら、ドワーフたちが向かう先に足を向けた... -
廃園遊戯
人魚の声
「なぜわしらが、人間たちの不始末の後始末をしなければならないのだ?」 辿り着いたドワーフの村で、アルセイドと魔女の2人は決して歓迎されたわけではなかった。人間が、というささやきを何度も訊きながら、魔女の先導によってドワーフの会議場に向かっ... -
廃園遊戯
優しい人形
王族連中と云うのは、どうしてあんなに人が良いかね、と彼は思う。寛大が美徳とされる世情だ、だがあの帝国が周辺の国々を侵略しているのである。 自分がスパイだとは考えないのだろうか、と、先程まで竪琴をかき鳴らしていた男は呟く。男はさっそくいただ...
