NOVEL– category –
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廃園遊戯
絶対者
「やれやれ、おとなしく講義に集中しているのだと思っておれば」「ミカド・ヒロユキを巡回使に落としたと云うぞ。あの者、血筋に問題はあれど、指揮能力は確かなものであったと云うのに」「しっ。代わりに赴かれたのはクルーガー将軍だと申しますぞ。ツィ... -
廃園遊戯
宝石
「サイズ直し、ですか?」 いつもの講義の後の出来事である。イストールが云いだした言葉に、アルテミシアはいぶかしい想いで言葉を繰り返した。端整な顔をピクリとも動かさない教師は、彼女の困惑にも動じたりはしない。淡々と事務的に言葉を続ける。 「... -
廃園遊戯
小さな約束
ふわりと香り高い野菜スープを持ち込んでも、魔女が目を覚ますことはなかった。 アルセイドは溜息をつき、ベッドサイドにあるテーブルに食器を置いた。彼女の青白い顔に揺らぎはない。これで丸一昼夜眠っていることになる。長過ぎないか、とは、不安がもた... -
廃園遊戯
花束
(困ったなあ……) それがマヤの正直な感想だ。主人の元に次々と届けられる花束、いずれも高貴なる方々からの贈り物だと知る彼女には決して粗末に扱うことなどできない。ましてや、主人の評判を左右しかねないとあってはなおさらのことだ。先輩の侍女に相談... -
廃園遊戯
後継者
2人きりの講義は、正直息が詰まる。ましてや、相手がピクリとも表情を動かさぬイストールであれば、だ。 アルテミシアは両手を膝の上にそろえて、イストールの淡々とした声を聴いている。記録紙の類の持ち込みは、講義内容から禁じられている。だから聴き... -
廃園遊戯
混血
皇宮を出て、ようやくミカドは表情を崩した。 将軍職を解かれたばかりだと云うのに、痛快な気持ちが遥かに強い。馴染みの警備兵に手を挙げて、鼻歌でも歌いだしそうな様子で歩き続ける。送りの馬車は煩わしいから断った。 久しぶりの皇都なのだ。ゆっくり... -
廃園遊戯
スティグマ
竜の居る島は、だんだんと遠ざかっていく。船尾からその姿を眺めて、アルセイドは踵を返した。 途中、行き過ぎる船員たちに手をあげて、ひとつの客室にたどりつく。一級船室にあたるその場所は、少女が与えられた客室だ。すうっと息を呑み、こぶしで扉を叩... -
廃園遊戯
長い夜
身体を揺さぶる感触が、思ったより強い刺激だった。 ピクリと眉間を震わせ、アルセイドはまぶたをあげる。思わずあげそうになった抗議の声は、ドゥマの真剣な表情を前にして消えた。そして低く響くその音に気付く。こみ上げる吐き気を抑えて、ゆっくりと起... -
廃園遊戯
主従
ピーと天高く鳥の音が響く。 礼拝堂の天窓に黒い影がよぎった。あれは何の鳥だろう。どこまでも高く、どこまでも広く、飛んでいく力を持つ鳥の名は。 (まるで、あなたのようですね) ミカド、と声にならぬ声でアルテミシアは呼びかけていた。それだけで唇...
