宝箱集配人は忙しい。– category –
-
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
51 ギルド長が本気で、その言葉を言ったわけではないとわかっていた。 でも僕は、この提案をひどく魅力的に感じてしまったんだ。貴公子が充分過ぎるほど有能な人だと知っている。ドラゴンも、創造主に会いたいだろう。 なにより、古代の叡智が眠る迷... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
50 綺麗に刈り込まれた植木が、がさりがさりと動いて、ギルド長が顔を出した。 「遠慮していたわけではないのじゃよ。空気を読んで隠れておっただけなのじゃよ」 何を堂々と言っているかな、この人は。 今日も今日とて、庭師に扮しているギルド長を... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
49 ところで僕は、もう限界だったのだ。 くぅるうる、と緊張感に乏しい腹が、ドラゴンと秘書どのの前で主張を始めた。ドラゴンと秘書どのの視線を受けた僕は、お腹を抑えてため息をついた。 この状況、何度目だ。 僕の記憶を奪っただろう貴公子に... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
48 落ち着け、と、僕は自分に言い聞かせた。 貴公子への違和感を本人にぶつけたとしても、得られるものはないだろう。短い付き合いでも、そんなに簡単な人ではないと察している。何事かを秘匿しているなら、その秘匿している気配ごと隠し通せる、そん... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
47 『おぬし、なにがあった?』 少しぶりに会うドラゴンは、僕と秘書どのを見るなり、そんな思念を送ってよこした。 いつもならば、るるると軽やかに響くドラゴンの鳴き声は、いつもよりも重みを伴った響きになっている。人間で言うならば、低く唸った... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
46 医師の指が僕の頭を辿る。先ほども受けた診察だ。指先にまとわり付かせた魔法が、僕の体内を探り、異常を探す。僕は瞼を閉じて大人しくしていた。ふう、と空気が揺れる音がしたから、目を開ける。同時に、医師の指が僕から離れた。 「先生?」「異常... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
45 僕は首を振って、貴公子を見返した。 「申し訳ありませんが、これも職務なので。僕を発見した経緯をうかがっても?」 貴公子は軽く苦笑を浮かべて、秘書どのを見た。 「そちらのものにも伝えたが、滞在している宿の女将の依頼でな。調理に必要な素... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
44 結論から言うと、僕の記憶喪失は外傷が絡むものではなかった。 医師がどこを診察しても、僕の肉体には損傷がない。ストレスも記憶喪失の原因になるというが、心当たりがない。にもかかわらず、おととい、仕事を終えた後から今日に至るまでの記憶が... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
43 ぽかりと目をあけたとき、僕は状況がわからなかった。 あれ、僕は何をしていたんだっけか。今、横になってる場所はわかる。ギルドの保健室だ。でも仕事を終えて帰宅したはずの僕が、どうしてこんな場所に横たわってるんだ。 指先が動くことを確認...
