NOVEL– category –
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今日も告白、明日も恋
これが、恋?
高校での新生活が始まるときの、最初の試練っていつだと思う? あたしは昼休憩だと思うんだ。自己紹介もなかなかの試練なんだけどさ、ずばり、自己紹介って、この試練をクリアするための、いわゆるプレゼンだと思ってる。 自分はこんなやつです、仲... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
64 僕の名前を呼ぶ声がした。 知っている声のようでいて、知らない声だったようにも思える。もしかしたら、もう、忘れてしまった両親の声かもしれない。遠く近く、僕を呼ぶ声は、僕の意識を叩いた。 「室長!」 ハッと目を開けたとき、すぐ近くに、... -
今日も告白、明日も恋
こんな想い知らなかった。
「なんで起こしてくれなかったのおおおーー!」 部屋の扉を開けながら、あたしは一階に向けて声を張り上げていた。 七時四十五分。いつも起きる時間より、三十分も遅い。制服のリボンを結びながら、バタバタと階段を降りて、キッチンに飛び込む。 「お... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
63 僕は平凡な人間だ。 観察力も、思考力も、発想力も、平凡の範疇に留まっている。その僕が気づいた事実に、この場にいる、僕よりもずっと優秀な人間が気づかないはずがない。それぞれの得物を構えていた勇者たち一行は、一様に動揺して、それぞれの... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
62 この国において、治政は王家を頂点とした貴族が司り。 信教は神殿が司っている。 普通に暮らしている人々にとって、神殿は素朴にありがたいと感じる組織だ。子供が生まれたら祝福してくれるし、人が亡くなったときも手厚く埋葬してくれる。基本的... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい
61 僕たち宝箱管理室の人間が、迷宮の管理者たるドラゴンに会いに行くときは、ドラゴンに与えられた特殊な術式を使う。 いわゆる、先触れの術式だ。 宿屋から冒険者ギルドに戻った僕は、だれもいない宝箱管理室でその術式を使った。あなたの創造主が... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
60 「室長さん」 勇者の呼びかけに、僕はゆっくりと振り返った。 そうして見つけた勇者一行の表情はさまざまだ。驚愕に疑惑に困惑。だが勇者だけは僕を思いやる表情を浮かべている。視界の隅で、宿屋の娘さんがぺたりと床に座りこむ様を見届けながら、... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
59 「ここまでだな」 貴公子はそう言って、席から立ち上がる。 え、と僕がそんな貴公子をふり仰ごうとしたところ、走り寄ってきた剣士が、僕を椅子ごと抱え込んで、後ずさる。そうして、できた隙間に、勇者が入り込み、貴公子に向けて、鞘に入れたまま... -
宝箱集配人は忙しい。
宝箱集配人は忙しい。
58 マサラチャイをすすっていた唇を、カップから離して、僕は貴公子を見た。 貴公子は静かな横顔を僕に見せて、マサラチャイの入ってるカップを見下ろしている。僕の驚きに気付いただろうに、揺らがない横顔は微笑んでいるようにも見えた。 ぐるぐる...
